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Game*Sparkレビュー:『三國志14 with パワーアップキット』【年末年始特集】

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Game*Sparkレビュー:『三國志14 with パワーアップキット』【年末年始特集】

Game*Sparkレビュー特別企画として、2020年にリリースされた作品でレビューできなかったタイトルを厳選してお届けします。ぜひ年末年始のゲームプレイの参考にしてください。三国志をテーマにしたコーエーテクモゲームスによる人気国盗りストラテジーゲーム『三國志』シリーズの最新作『三國志14』。そのパワーアップキット(以降「PK」と表記)が2020年12月10日にPC(Steam)/PS4で発売されました。『三國志14』が発売されたのが2020年1月16日なので、約11ヶ月ほど経っての配信となります。今回はPKを含めた『三國志14』のレビューをお届けします。『三國志』シリーズの最初の作品である『三國志』は、1985年にPC-8801mkIISRというNECのパソコンでリリースされました。それ以前に光栄(現「コーエーテクモゲームス」)は『信長の野望』を発売していましたが、当時はまだ「武将」は登場しませんでした。そのため、200名を超す武将をメインとしたゲーム性は『三國志』の大きな特徴となっていました。『三國志』のメイン画面。基本的には数字とのにらめっこでした。しかし当時のPCは20万円前後の高額商品で、一般家庭が簡単に買えるような物ではありませんでした。本格的に普及したのは、やはり1988年にファミコン版『三國志』が登場してからでしょう(ただゲーム自体は1万円オーバーの高額商品でした)。その頃、筆者は父親の仕事で北京にいたのですが、翌年に天安門事件があったことで、祖父のいる台北に移り住みました。祖父の家のそばにゲーム屋があり、新品(と店主は言っていましたが、たぶん中古)の日本製ファミコン版『三國志』があったので、最終ステージがどうしてもクリアできなかった『忍者龍剣伝』を売り払って、差額で購入したのは良い思い出です。『三國志』は、近年のシリーズ作品から見ればグラフィック的には貧弱で、袁術や郭図の武力が90台だったり、逆に龐徳の武力が44しかなかったり(知力は87)など、突っ込みどころも多かったのですが、リプレイ性も高かったことから、いろいろな君主で何度も遊んでいました。以降、『三國志』シリーズが出るたびにプレイするようになったという次第です。今回はその最新作『三國志14』の、PKをひっくるめたPC版のレビューをお届けします。シリーズ3作品の良いとこ取り『三國志IX』のメイン画面。一枚マップ上で戦闘も内政も行います。ナンバリングごとに大きく装いを変える『三國志』シリーズ。筆者が『三國志』シリーズの中で好きなのは『三國志VI』『三國志XI』『三國志11』です。特に『三國志IX』はシリーズ初の一枚マップで、部隊に出陣命令を出すと移動中に吹き出しでセリフをしゃべったり、勝手に一騎討ちや計略を行ったりと、それぞれの武将が自分の意思で戦っている感じがあって好きでした(ちょこちょこ動く部隊の様子も可愛いですしね)。『三國志11』のメイン画面。マス目の上でユニットを動かす様子はボードゲームっぽさがあります。『三國志11』も『三國志IX』と同じく一枚マップで、プレイヤーは自分で部隊を一つひとつ動かすことができます。筆者はボードゲーム好きなので、ボードゲームを遊んでいるような感覚があって楽しめました。特にPKで追加された、ショートシナリオを楽しめる「決戦制覇」モードがパズルゲームのようで面白かったです(『三國志14』のPKでは、ショートシナリオが楽しめる「戦記制覇」モードがあります)。『三國志12』の全体マップ。戦闘はリアルタイム的な形になりました。『三國志11』が発売されたのは2006年ですが、そこから6年という長い年月が経過した2012年に『三國志12』が登場しました。戦闘がリアルタイム的なものになった一方、システム自体はかなり簡略化されており、しかも武将数ががっつりと減って前作の3分の2ほどになっていました(PKで増えましたが)。ライト層向けのカジュアルなゲームにしたかったのだとは思いますが、続く『三國志13』共々、筆者の趣向にはあまり合いませんでした。特にリアルタイム戦闘の操作が忙しく、「お茶でも飲みながらゆっくり遊びたい」という筆者のような「まったり層」のニーズからは離れたものになっていました。『三國志14』の全体マップ。『三國志IX』と『三國志11』を合わせたようなシステムになっています。そんなこんなで『三國志14』はどうなるのかと思っていたのですが、「ヘクスマップでターン制」という、ちょうど筆者の好きな『三國志IX』と『三國志11』を合わせたような形になっており、武将数も約千人とシリーズ最多。ターン初めに部隊をどう動かすかを決めて、あとは武将たちが勝手に動いてくれるという(しかも武将たちの個性に合わせた行動をしてくれるという)、筆者好みの作品に仕上がっていました。また「補給」の概念も取り入れられており、これも筆者の好きな『三國志VI』で似たようなシステムがあります。『三國志VI』では国単位での補給で、勢力の本拠地と補給路がつながっていない国に対しては命令ができず、戦闘では兵糧切れになってしまいます。後述しますが、本作では国ではなく、自勢力が塗り潰した土地(ヘクス)が補給路となります。そういう訳で奇しくも本作は、筆者の好きな3作品すべての要素が取り入れられていることとなります。『三國志11』はともかく、『三國志VI』『三國志IX』は解像度が低く、現在のモニタでプレイするには多少厳しいものがあります。似たエッセンスを持つゲームを高解像度でプレイできるというのは嬉しいですね。まずは本作の特徴である「土地の塗り潰し」を見ていきましょう。どんな武将にも活躍の場を与えてくれる「土地塗り潰し」システム兵站切りの分かりやすい例。南皮から出陣した黄巾賊の将・管亥が塗り潰してきた土地(橙色)に関羽を向かわせ、南皮とのつながりを断ちます。実際の戦争において、一番重要なのはやはり「補給(兵站)」でしょう。百万の大軍があったとしても、兵糧や軍需物資がなければすぐに瓦解してしまいます。本作では部隊が通過した土地(ヘクス)は、自勢力の色で塗り潰されます。これはその土地の「占領」を意味し、同時に部隊の「補給路」ともなっています。部隊と都市が塗り潰された土地でつながっていないと「補給(兵站)が切れた」こととされ、部隊が「混乱」「足止」状態になり、さらに士気もどんどん下がっていきます。「混乱」状態になった部隊はステータスが低下し、しかも攻撃できなくなるので、一方的に敵の攻撃を受けることになります(ただし司馬懿のように「泰然」の個性を持つ武将は、兵站を切られても異常状態になりません)。これまでの「三國志」シリーズの戦闘は、基本的には部隊同士がぶつかり合い、その強弱で勝敗が決まっていました。しかし本作においては、敵部隊とぶつからなくても、土地を塗り潰したり、兵站を切ったりすることで、戦争に貢献できるようになっています。「強い武将を敵に当たらせ、その間に別動隊が兵站を切りにいく」といった作戦も可能です。そのため、敵の大軍相手でも、「兵站切り」を上手く使うことによって逆転が狙えたりします。「鶴翼」陣形を使うことで、一部隊でも広い範囲を塗り潰すことができます。また土地を多く塗り潰すことで、その地域での収入も多くなっていきます。敵を倒す必要が無いので、武力の低い武将でも土地塗り潰しで貢献することができます。「占領」コマンドを使えば自動で領域内を塗り潰してくれますし、塗り潰し範囲の広い「鶴翼」陣形があると効率が上がります。それと部隊を出さなくとも、占領した都市や府に担当官を置くことで、ターンごとに周囲の占領地域を拡大してくれます。このように内政を地域占領にも使うことができるので、内政官でも戦闘貢献できるでしょう。能力が低い武将でも、何かと使うことができるのが本作の良点と言えます。とにかく味方武将は一人でも多い方がいいですね。PKで追加された計略「偽報」。成功すれば、敵部隊を罠など指定した場所へと向かわせることができます。また『三國志IX』『三國志11』のように、マップ上に施設や罠を配置することもできます。敵を自動攻撃する「弓櫓」や「投石台」、味方部隊の士気を上げる「軍楽台」、火焔を起こす「火罠」などがあり、PKでは「鉄索」「落石」「射台」が追加されました。これらの施設や罠は、敵の侵攻ルートを予測して設置する必要があったのですが、PKでは「偽報」を敵に仕掛けることができ、成功すると指定した場所へと誘導可能です(成功率は知力依存)。これによって仕掛けた罠や施設に敵を向かわせるなど、マップ上での戦術の幅が増えました。知力の高い武将が、戦場でより活躍できるシステムとも言えます。PKでは「地の利」システムが追加され、「地域ボーナス」が付くようになりました。各州で所定数の都市を占領していれば、武将の忠誠度が下がりにくくなったり、計略実行費用が安くなったりなど、様々な効果が得られます。さらにPKでは『三國志IX』のように異民族都市が設置されており、幽州や涼州などを占領していると、「地の利」としてそれら異民族との外交が可能になります。『三國志IX』同様、異民族は強大な兵力を有していますが、敵対するだけではなく、友好関係になることで異民族武将を配下にすることができます。異民族都市の登場は、安全地帯であったマップ端に緊張感をもたらしてくれます。良い関係を築いていくのがいいでしょう。「個性」を持つ武将たちと高いリプレイ性呂布は三国志最強の武将ですが、「猪突」「悪名」「短慮」という3つのバッド個性を持っています。筆者が『三國志VI』や『三國志IX』が好きな理由として、「武将の自主性」を重んじて作られている点が挙げられます。君主は武将の動き一つひとつを逐一指示するのではなく、「どこを攻めるか」などの大まかな命令を与え、後は武将の意思に任せるといった形になっています。本作も『三國志IX』のように攻める場所を指定すれば、後は各武将がそれぞれの判断で侵攻を始めてくれます。この時、武将の個性に「猪突」や「功名」などがあると、命令を無視して戦ったりします。また「癇癪」「短慮」「粗忽」などがあると、異常状態になった時の期間が延長されます。特に武力の高い武将はこれら「バッド個性」持ちが多く、呂布や張飛、馬超などは「猪突」持ち、黄忠や魏延は「功名」持ちと、「強いけど扱いが面倒な問題児」という個性が上手く引き出されています。逆に関羽や趙雲、張遼といった「優等生タイプ」はバッド個性を持っておらず、戦場においてはしっかり任務を遂行してくれる安心感があります。本作で最高の政治力を誇る「王佐の才」こと荀彧。知力・魅力も90台と高性能ですが、統率54・武力14と殴り合いは苦手。内政系強化の個性がある武将がいれば、スタートダッシュが有利になります。所属都市の全地域の開発が上昇しやすくなる「王佐」や、登用・探索の日数を短縮する「人脈」などを持つ武将がいれば、序盤から国力を伸ばしていけるでしょう。また周囲の味方の異常状態期間を短縮する「督励」や「明鏡」「諌止」の個性持ち武将がいれば、戦場では心強いサポートとなるでしょう。戦争や内政においては、単純に武力や知力のステータスを見るだけでなく、個性を活かした配置を考える必要があります。武将をどう扱えばいいのかを考える楽しみが、本作にはあるのです。PKでは「国替」による勢力配置のランダム変更機能があります。本作で特に強調したい点は、そのリプレイ性の高さでしょう。『三國志11』は、ゲーム自体は面白いのですが、部隊移動や内政の面倒さ、クリアまでの時間が長いことから、一度クリアすると、筆者としては連続でまた遊ぼうという気力が湧きにくいという問題点がありました。一方で本作は内政も簡単ですし、面倒な部分は委任してしまうことができるなど、ゲーム開始後の準備が手軽なことから、再スタートがやりやすいです。またPKで「国替」が追加されたことにより、ゲームのリプレイ性がさらに高まりました。これは各シナリオでの勢力配置を、ランダムで変更するという機能です。例えば上の画像ですが、国替によって曹操の勢力が呉の位置に、孫権や士燮の勢力が魏の位置に変更されています(何度でもランダム変更可能)。配置を替えたくない勢力はロックを掛けることができるので、自分の思い通りに配置を決めることも可能です。これまでの「三國志」シリーズは、勢力の位置が固定されていたことから、侵攻ルートがだいたい決まってしまっていました。しかし国替で配置を変更することによって、同じシナリオでも新鮮な気持ちでプレイすることができます。筆者がPKを買ってよかったと思っている一番の理由は、やはりこの「国替」があるからですね。今後のシリーズでも、継続して追加して欲しい機能です。内政や外交は淡白「地域内政」の画面。武将を配置して、開発項目を選ぶだけです。本作の内政ですが、やることと言えば、各地域に武将を配置し、3つの開発項目(商業・農業・兵舎)のいずれかを選ぶだけです。一度配置してしまえば、後は特に何もしなくていいので、楽と言えば楽です。本作では一枚マップ上での戦闘に主眼が置かれているので、そのテンポを崩してしまうような複雑な内政は避けたのでしょう。この辺りは好みの問題もありますが、内政好きの方には物足りなさがあるかもしれません。外交では「親善」や「同盟」「捕虜返還」「攻撃要請」「降伏勧告」などが行えます。これも使者と貢物を選んで相手国に向かわせるだけで、『三國志11』であったような「舌戦」などは発生しません。外交画面も立ち絵が表れて進行していくだけのあっさりとしたものになっています。この辺りも、ゲームのテンポを考えると仕方の無いことかもしれません。有料DLCによって選択可能になる難易度「超級」と「極級」。それと、本作は本体+PKを購入しただけでは完結せず、多数のDLCが存在します。シナリオや武将の追加ぐらいなら分かるのですが、ゲームの難易度(「超級」「極級」)や敵部隊の情報表示、一騎討ちや武将負傷の有無、各種編集機能まで有料コンテンツなのは正直どうかなとは思いました。本体やPKの価格自体が高いこともあり、「一騎討ちの有無」のような基本的な物は、最初からオプション選択可能でもいいような気がします(これら販売方法の問題については、筆者はゲーム評価には影響なしと判断しているので、今回のレビューの評価材料にはしていません)。総評本作は本体自体の出来が良く、「PK無しでも十分遊べる作り」なのが好印象でした。「明らかに何かが足りない」と言う所も無く、PKはあくまで本来の意味としての「ゲームをさらに楽しむための追加要素」となっています。またゲームシステム自体が分かりやすく、委任システムも使いやすいので、繰り返しプレイするには適した作りになっています。内政面は簡素ですが、その分、プレイヤーは一枚マップ上の戦闘に集中することができます。『三國志VI』『三國志IX』『三國志11』のエッセンスを汲みながらも、現代のPC環境で不満なく実行でき、『三國志11』の欠点であったクリアまでの所要時間の改善なども行われている今回の『三國志14』。今から『三國志』シリーズを知るのにはコレ以上無い作品に仕上がっています。本体だけでも十分遊べ、「パワーアップキット」の導入が必須ではないのもその印象を強めています。総合評価: ★★★良い点・『三國志IX』と『三國志11』を融合させた1枚マップ・約千人もの「個性」ある武将たちが登場・PK無しでも十分に楽しめる内容・高いリプレイ性悪い点・淡白な内政と外交 ■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。

「Game*Sparkレビュー」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、オリジナルレビューをお届けします。対象となるタイトルはAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。このレビューでは、3段階評価をベースに「良い点」「悪い点」を挙げながら総評を下します。最低評価は「難アリ/オススメできない」、中評価は「ふつう/そこそこオススメ」、最高評価は「とても面白い/とてもオススメできる」に当ります。「プレイレポート」として公開している記事では、本企画と同様の評価を付けません。また、記事の性質上、ストーリーなどの「ネタバレ」を含む場合がありますので、閲覧の際はご留意ください。レビュー記事に使ったゲームは「編集部およびライターが購入した物」であり、デベロッパー/パブリッシャーから提供されるゲームソフトは利用しません。また、「Game*Sparkレビュー」は「PR記事」と一切の関係を結ばず、すべての評価内容がライターの価値観に基づきます。特定の企業やプロモーション、ユーザーコミュニティにも影響を受けません。なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイし、評価します。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。

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