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美しい装飾の織物で包まれた古代エジプトのミイラの中身の謎をCTスキャンで解明

カラパイア

ミイラの中身をCTスキャンで解明
ミイラの中身をCTスキャンで解明 image by:Zesch S, et al. / PLOS One

 現代のCTスキャン技術のおかげで、400年以上前に発見された古代エジプトのミイラ3体の詳細が判明した。

 古代エジプト、サッカラの共同墓地で1615年に発見されたミイラは、紀元前30年から紀元395年の間ものと判明、成人の男女、そして十代の少女だった。

 ミイラは、棺ではなく木の板の上に安置され、高品質の織物の屍衣で包まれていた。その表面には、漆喰や金で装飾された本人とおぼしき肖像画が描かれている。

約400年前に発見されたミイラの謎をCTスキャンで解明


 これらのミイラは、古代エジプトのネクロポリス(共同墓地)、「サッカラ」で発掘され、うち男女2体のミイラは1615年、イタリアの作曲家、ピエトロ・デラ・ヴァレ(1586~1652)が聖地巡礼のためにエジプトを通過した時に購入してローマへ送った。

 長旅のせいで少し損なわれてしまったが、これが、ヨーロッパに紹介された最初の肖像ミイラとされている。

 その後2体は数回所有者が代わり、最終的にドイツのドレスデン州立美術館に収蔵される。1980年代に、X線撮影が行われたが詳しい情報は得られなかった。

 少女のミイラは、カイロのエジプト考古学博物館に所蔵されている。

 今回、ドイツ、マンハイムにあるライス・エンゲルホルン博物館のステファニー・ゼッシュ博士ら研究チームが、これらのミイラをCTスキャンにかけ、3体とも紀元前30年から紀元395年の間のものと特定した。この時代は、エジプトにおけるローマ時代後期にあたる。

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成人女性のミイラはネックレスをしている。CTスキャンで、首や体のまわりにかかっているネックレスのビーズがはっきりわかる
image credit:Zesch S, et al. / PLOS One

 男性ミイラの肖像画は、黄金のカップと花を持っている。女性はギリシャのオイル入れであるレキュトスを手にしている。肖像画からは、女性はふたりとも、精巧なビーズのネックレスをしているのがわかる。

 3人ともあの世へ旅立つために不可欠なものとともに埋葬されていた。

 それは三途の川を渡るのに、渡し守「カロン」に支払うコインだ。カロンは、死者の魂をステュクス川を渡らせる役目を担うローマとギリシャの神。

 さらに、スキャンで女性の腹のそばに、釘か矢のような金属製のものがふたつ置かれていていることがわかった。

 こうした金属製のものは、男性のミイラの中にも見つかっている。これは、ミイラ化する作業場からの封印だと考えられる。


Peer Inside Ancient Egyptian Mummies

古代エジプトの死者をひもとく


 成人女性は、身長151センチ、30歳から40歳の間に亡くなったことがわかった。左膝の関節炎に苦しんでいたと思われる。

 成人男性は、身長164センチ、25歳から30歳の間に死んだようだ。多くの骨が折れてバラバラになっていたことから、17世紀に発見されたとき、いったん屍衣を解かれ、再び乱雑にラッピングされたのではないかと思われる。

 少女は、身長156センチ、17歳から19歳の間に死んだと思われる。少女の肖像画はいくつかのネックレスを身につけているが、CTスキャンによって、それが実際に確認された。

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女性たちのミイラは、美しいネックレスを身につけていた。少女のミイラの肖像は首、胸、頭につけたヘアピンのまわりにビーズをつけているが、CT画像でそれが再現されている
image credit:Zesch S, et al. / PLOS One

 少女の脊椎には良性の腫瘍である血管腫が見られたが、これは比較的年齢のいった人に見られるものだという。年月のせいか脳は萎縮していたが、まだ残っていた。成人の男女の脳は、残っていなかったという。


古代エジプトの上流階級


 この3人は若くして亡くなっているが、正確な死因はわからない。はっきりしているのは、3人とも上流、中流、下流という3つの身分に分かれていた古代エジプト社会の中で、比較的裕福な生活を謳歌していた人たちだったことだ。

 彼らはもしかしたら、王室のメンバーだったのかもしれない。あるいは、男性は軍の将校か裕福な地主、女性は政府の高官か医師だった可能性もある。

 中流クラスは、おもに商人や製造業者、職人などが多く、下流クラスに比べて快適な人生を楽しむことができた。古代エジプト社会では、サッカラの墓地に埋葬されるのはエリートだけだったという。

 この研究は『PLOS One』(11月4日付)に掲載された。
References:ancient-origins / livescience/ written by konohazuku / edited by parumo

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