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ワインドアップの美学

週刊ベースボールONLINE


頭の後ろでボールをセットするクラシカルなワインドアップが松坂の代名詞

 ひさしぶりに中日・松坂大輔のワインドアップが戻ってきた。3月14日の古巣・西武とのオープン戦(ナゴヤドーム)に先発すると、初回、一番の元チームメートでもある松井稼頭央を迎えるとゆっくりと振りかぶった──。

 幼い頃、近所でキャッチボールをすればピッチャーにあこがれる少年のほとんどが“大きく振りかぶって”ボールを投げていた。打者を睨みながら両腕を頭上に掲げる動作は、マウンドに立つ者だけに許された特別な儀式のようにも感じられたものだった。

 ワインドアップが野球界から少なくなっていったのはいつからだろうか。今ではノーワンドアップ、もしくはセットからのフォームが増え、ワインドアップは絶滅危惧種。その姿が様になっていた大谷翔平もプロ入り後、しばらくしてセットに修正した。現在、球界を見渡してもパッと思い浮かぶのは、楽天・岸孝之、ソフトバンク・東浜巨、広島・大瀬良大地くらいだろうか。

 かつてはワインドアップのほうがフォームに勢いが出て、強いボールが投げられるとされてきたが、現在では「制球力の低下」「ムダな動きが多い」と技術的なデメリットを指摘されることが多い。しかし、松坂はこだわる。

 全球がセットでの投球だった前回の楽天戦(4日、ナゴヤドーム)の後、松坂は「振りかぶっていこうかなと思ったんですけど、バランスが悪かったのでセットでいこうと決めました」と語り、そして「見た目のカッコよさでワインドアップにしているので、また戻したい」と続けた。もう理屈ではなく、美学なのだ。このスタイルをボロボロになるまで貫いてほしい。
文=滝川和臣 写真=BBM

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