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広さだけじゃない? 新人王にナゴヤドームがもたらした恩恵

週刊ベースボールONLINE


北谷での一軍キャンプ。守備練習で汗を流す京田

 昨シーズンのセ・リーグ新人王、中日の京田陽太は「松坂さんが来て、みなさん(報道陣やファン)が行ってくれる」と、予想より静かな自身のキャンプの状況を、冗談交りに語った。長嶋茂雄(元巨人)に次ぐセ新人歴代2位のシーズン149安打を放ち、中日では1998年の川上憲伸(元中日ほか)以来の新人王。チームは5位と低迷したこともあり、チーム希望の星は、オフの取材やイベントに引っ張りだこ。多忙を極め、思うように練習時間を確保できなかった。キャンプ中も報道陣やファンに囲まれると思いきや、「松坂フィーバー」のおかげで難を逃れたかたちだ。集中できる環境に身を置いた京田は「人より練習できていないと思うので、この1カ月で取り戻せたら」と、猛練習の覚悟を口にする。

 シーズン中、京田にとってプレーしやすい環境であったのが、本拠地・ナゴヤドームだ。ナゴヤドームは両翼100メートル、中堅122メートルで、外野フェンスの高さは4.8メートル。12球団の本拠地の中でも広くフェンスも高いため、ホームランが出にくい。ボールを見えやすくするため、人工芝の色も濃い緑を採用している。そのため、守備側に有利な球場と言われる。日大時代から前評判の高かった京田の堅実な守備も、昨シーズンの守備率.980と、十分な数字に表れた。

 しかし、ナゴヤドームが京田にもたらした恩恵は、守りやすさだけではなかった。「走りやすい」と京田が言うように、守備同様に前評判の高かった俊足も、「地の利」を生かして存分に発揮された。「下が固いんで、内野安打も打ちやすいです」と京田。ナゴヤドームは全面人工芝で、試合がない日にはその人工芝部分を巻き取って剝がし、コンサートなどのイベントが行われることもある。そのためにグラウンド部分が固く、内野部分が土のグラウンドに比べると、走ることに適しているのだ。

 その実感は数字にも表れた。昨シーズン、京田が放った149安打のうち、内野安打は計39。そのうちナゴヤドームで放った内野安打は18と、約半数にあたる。ちなみにナゴヤドームでは計65安打を放っているから、ナゴヤドームでの安打の約3割が内野安打ということになる。盗塁においても、リーグ2位タイ、チームトップタイの23盗塁を記録した。そのうちナゴヤドームできめたのが13盗塁。盗塁企図数は19で、成功率は.684。ナゴヤドーム以外での盗塁成功率が.588(企図数17、盗塁成功は10)なのだから、本拠地での成功率のほうが1割近く高い。

 ナゴヤドームとは対照的に、内野部分が柔らかい土になる、マツダスタジアムや甲子園については「やっぱり走りにくいですね。だから赤星さん(憲広・元阪神)が、甲子園であれだけ盗塁をきめられるのはすごいなって思います。田中さん(広輔・広島)もそうじゃないですか。去年、(本拠地が)マツダで盗塁王になって」と、ビジターでの盗塁の難しさも口にした。

 しかし、日大時代から「練習の虫」で知られる京田は、あくなき向上心の塊だ。昨シーズンより「走塁改革」を掲げるチームの中で、京田の足は何よりの戦力。ナゴヤドーム以外でも、その足を生かしたい。厳しいキャンプを経て、3月30日、開幕の広島戦は土のグラウンド、マツダスタジアム。泥だらけのユニフォームでダイヤモンドを駆け巡る京田の姿が、きっと見られるはずだ。

文=依田真衣子 写真=井田新輔

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