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陸上を歩くことが可能な魚が少なくとも11種いることが判明(タイ)

カラパイア

陸上を歩くことができる魚が少なくとも11種
陸上を歩くことができる魚が少なくとも11種 image by:Florida Museum/Zachary Randall

 ヒレを使ってヨチヨチと水中を歩く魚はいくつか存在するが、今回紹介するのは、水中ではなくその気になれば、陸上を歩くことができる魚のことである。

 2016年にタイの洞窟で、特徴的なヒレを持つ盲目の魚、「ケイブ・エンゼルフィッシュ」が発見されたが、この魚はヒレを使って陸地を歩行することができる。

 最新の研究によれば、他にも、少なくとも10種の魚が歩ける可能性があるらしいことが判明したそうだ。これらの魚は特殊な骨盤の形状を持っており、最初に地上に進出した脊椎動物の姿を示唆しているという。

最初に地上に進出した脊椎動物


 海で生まれた生命は、どのようにして陸上に進出したのだろうか?

 地殻変動によって誕生した陸地にまず上陸を果たしたのは植物だ。今から5億年ほど前のことである。5億~4億年前には、動物として初めて昆虫が地上に進出した。私たち人間を含む脊椎動物が水から上がったのは、4億~3.7億年前のことだ。

 その最初の仲間は、川の中でひれと筋肉を発達させた淡水魚から進化した「両生類」だったと考えられている。

 では勇敢にも上陸を試みた最初の両生類はどのような姿だったのか?


陸上を歩ける魚と初期の両生類の関係


 その答えのヒントとなる生き物が、タイ北部の洞窟内に生息している。

 それはコイ目タニノボリ科の「ケイブ・エンゼルフィッシュ(学名 Cryptotora thamicola)」と呼ばれる不思議な魚だ。

2016年に発見された歩ける魚、ケイブ・エンゼルフィッシュ

Cryptotora thamicola – a cavefish with evolutionary implications

 単独でクリプトトラ属を構成するケイブ・エンゼルフィッシュは、暗いところで生きているために色素がなく、目も見えない。

 しかしその代わりに、背骨ががっしりとした「腰帯」(脊椎動物の後ろ足の基部。通常、魚類ではほとんど発達していない)につながっている。

 このおかげで、腹びれを手足のように操って、サンショウウオのように歩くことができるのだ。

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image by:Florida Museum/Zachary Randall

同様の骨格をタニノボリ科の魚10種で確認


 そこで米ニュージャージー工科大学をはじめとするグループは、同じくタニノボリ科の仲間30種ほどをCTスキャンで調べ、背骨と腹びれをつなぐ骨の構造を分析してみることにした。

 するとケイブ・エンゼルフィッシュ以外にも、10種からそれと同じく陸上を歩くことができそうなよく発達した腰帯が見つかったのである。

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image by:Florida Museum/Zachary Randall

 これまでケイブ・エンゼルフィッシュだけと思われていた特徴が、じつはタニノボリ科の仲間では案外一般的だったということだ。

 ただし、みなが歩く才能に恵まれたわけではない。東南アジアにタニノボリ科の仲間は100種以上生息しているが、実際に歩くことが確認されているのは、今のところケイブ・エンゼルフィッシュだけだ。

 他の10種はは陸地を歩く必要性がないから歩いていないだけで、本人が望めば、あるいは環境が変われば、歩くことができるようになるかもしれない。

 タニノボリ科の仲間(Homaloptera bilineata)は、ケイブ・エンゼルフィッシュのような発達した腰帯を持たないが、腹びれを使って歩くことができる。ただし歩行できる距離は不明だという。

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タニノボリ科の仲間、Homaloptera bilineata image by:S. Kulabtong / WIKI commons

歩行能力は、洞窟内の急流に適応するため


 研究グループのザッカリー・S・ランドール氏によると、ケイブ・エンゼルフィッシュの歩行能力は、流れの速い洞窟の川の中で生き延びるための適応だったという。

 乾季になると水の量が変化するので、岩だらけの川底をしっかりとつかみ、ときに滝を登ってでも移動しなければならなかったのだ。しかし、この歩行能力のおかげで、酸素が豊富で、しかも競合相手がほとんどいない場所へ移動することができた。


Some Fish Swim. Weirder Fish Hop. This Fish ​Waddles


変化は一度だけではなく複数回


 CTとDNA解析の結果からは、歩行能力を獲得させたがっしりとした腰帯はたった1度のきっかけで生じたわけではなく、タニノボリ科の仲間の中でいく度か現れていたらしいことが判明している。

 主執筆者のカーリー・クロフォード氏によれば、こうした仲間は陸を歩くという構造的な必要性に応じようとしたのだという。

 この仲間の関係からは、流れの速い川に適応するその能力が、特定の身体的特徴に依存しているというよりも、遺伝的に受け継がれたものである可能性がうかがえるそうだ。

 この研究は『Journal of Morphology』(8月13日付)に掲載された。
Skeletal and muscular pelvic morphology of hillstream loaches (Cypriniformes: Balitoridae)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmor.21247
References:njit / floridamuseum/ written by hiroching / edited by parumo

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