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11年前の楽天/球団創設3年目で初の最下位脱出を果たした野村イーグルス

週刊ベースボールONLINE

10年ひと昔と言うが、それだけ年月を重ねればプロ野球のチームも様変わりしてしまう。ここでは年末年始特別企画として、11年前、2007年のペナントレースを12球団ごとに振り返っていこう。

【2007年度チーム成績】
野村克也監督
パ・リーグ4位
144試合 67勝 75敗 2分 勝率.472

【BASIC ORDER】
投手 田中将大(先発)
投手 渡邉恒樹(中継ぎ)
投手 小山伸一郎(抑え)
捕手 嶋基宏
一塁 J.フェルナンデス
二塁 高須洋介
三塁 草野大輔
遊撃 渡辺直人
左翼 リック
中堅 鉄平
右翼 礒部公一
DH 山崎武司

“新旧コンビ”がシーズンの主役



要所で連敗ストッパーになるなど、まさにエース級の活躍を見せた田中

 球団創設3年目の2007年、悲願の最下位脱出を果たした楽天。06年シーズンから20個の白星を積み上げる67勝75敗と健闘し、4位に浮上した。「無形の力」を説く就任2年目の野村克也監督は、弱小球団をどう変えたのか。

「野球はエースと四番」

 そう持論を主張する野村監督だが、投打の“新旧コンビ”がシーズンの主役となった。高校出ルーキーとしては西武・松坂大輔以来となる2ケタ勝利(11勝)を、田中将大がマーク。チームで唯一、先発ローテーションを守り、実質的なエースとして堂々の新人王にも選出された。

 プロ21年目の山崎武司は自己最高の43本塁打、108打点を達成。両部門でリーダーとなり、中日時代の96年以来11年ぶりのタイトルとなる2冠を獲得した。

 投手はいかにデータを生かした投球ができるか、打者は相手バッテリーの球種を冷静かつ的確に絞り込めるか――。田中、山崎武が、この野村野球の大命題を最もうまく実践できた選手だったと言える。

「投げるたびに課題が生まれる」と、結果に満足することなく、常に進化し続けた怪物ルーキー。「今までにない野球の楽しさを感じている」と、シーズンを通じて探究心を絶やすことのなかったベテラン。ともに天才肌の2人に共通していたのが、野村監督の求める「考える野球」へのひたむきさであり、弱小球団にはびこっていたムードを吹き飛ばす闘争心だった。

健在だった「野村再生工場」



10月4日のホーム最終戦で「来年は何とかAクラス、優勝を目指して」と挨拶した野村監督

 華々しい脚光を浴びた両選手以上にチームを変えたのが、世代の交代。各球団から戦力外通告されたベテランを寄せ集め、創設当時に「パッチワーク球団」と揶揄された戦力は、確実に若返った。

 投手陣では、新人・永井怜が一時は先発ローテに食い込み、7勝を挙げた。開幕直後に先発陣の柱に指名されたのは、2年目の青山浩二。3年目の渡邉恒樹はチーム記録を塗り替える65試合に登板し、セットアッパーとして奮闘。シーズンの1点差ゲームで24勝12敗という驚異的なチームの粘り強さに貢献した。若手投手の台頭は岩隈久志、一場靖弘ら主軸に期待していた投手の故障という、まさに“ケガの功名”からという流れも手伝った。

 116試合で先発マスクをかぶった嶋基宏、攻守走でセンスあふれるプレーを見せる渡辺直人の2人の新人も新生楽天を象徴。手堅い守りで野村監督に「専守防衛」と言わしめた牧田明久、終盤にプロ初安打を放った枡田慎太郎と、躍動する野手は新たなシーズンへ期待を膨らませた。

「野村再生工場」は、07年も健在。右ヒジ痛で戦列を離脱した福盛和男に代わり、プロ11年目の小山伸一郎がクローザーとしての才能を開花させた。7月25日の西武戦(グッドウィル)でプロ初セーブを記録するなど、3勝1敗16セーブ、防御率0.58と自身最高の成績をマーク。また、6年目の朝井秀樹は06年の2勝から大きく飛躍する8勝を残した。

 それぞれ中日、近鉄にドラフト1位で入団。「1位で入ったという事実は、間違いなく人並み以上の何らかの才能がある」と、野村監督は断言する。その潜在能力を目覚めさせた方法の1つが、新たな球種を覚えさせることだ。

 小山はシンカー、朝井はカットボールを習得。150キロ台の速球が武器の小山は、打者の目をそらすことで単調さから脱却。朝井は速い変化の球が増えたことで、得意の緩いカーブを交えたコンビネーションが冴えた。

 勝利への喜びは、チーム全体にさらなる向上心と、ホコリにまみれていた誇りもよみがえらせた。合言葉となっていたのが「今度こそ、プレーオフ進出」。確実に強くなったという自信を胸に、08年Aクラス入りという大きな壁に挑むことになった。

写真=BBM

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