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絶体絶命のピンチにも強い●●主義のススメ。“幸せのパンデミック”を起こしてコロナ時代を生き抜くには

ダ・ヴィンチNEWS

『残酷すぎる成功法則 文庫版』(エリック・バーカー:著、橘玲:監訳、竹中てる実:訳/飛鳥新社)

 7月20日、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が168人を記録した。東京都の「新型コロナウイルス感染症 対策サイト」より「陽性率」の推移を確認すると、緊急事態宣言を解除して以降、再び増加傾向にあるようだ。全国的にみても新規感染者数が再び目立ち始めている。

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 私は素人なので、今がどのような状況下にあるのか、このウイルスと人類の闘いをどう繰り広げるべきか、まったく分からない。だからこそ未来が見通せずに不安な気持ちになる。もし感染したらどうしよう。経済が衰退して仕事を失ったらどうしよう。また冬を迎える頃にはどうなってしまうのか。コロナに感染せずとも、心にじわりと不安な色が広がる。いま日本中の人々が、これに近い思いを抱いているのではないか。

 こんなとき私たちに必要なものは、なんだろう。これからご紹介する本の一部を抜粋しよう。

しかしこのウィルスと闘い続けるには、私たちはつねにポジティブに、希望を持ち続ける必要がある。たがいに助け合い、励まし合うことが大切だ。体の健康を守らなければならないのはもちろんだが、そのためには、心や気力、感情も健やかに保ち、レジリエンス(心の回復力)をもつ必要がある。

 2017年10月、『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』が発売された。膨大なエビデンスを根拠に「成功者になるための法則」を説いた本書は、12万部を超えるベストセラーとなった。

「成功者は社交的と思われがちだが、アメリカの第一線の専門家やトップアスリートの9割は内向的である」「学校で優秀だった生徒は社会の中で限定的な成功を収め、反対に問題児と扱われた変わり者は社会を変える革新的な可能性を秘めている」など、目を丸くするような成功ルールに衝撃を受けた人も多かったはず。

 そしてこのコロナ禍において、『残酷すぎる成功法則 文庫版』(エリック・バーカー:著、橘玲:監訳、竹中てる実:訳/飛鳥新社)が、文庫版として再び出版された。最大の目玉は、50ページを超える「コロナ時代を生き抜くために」を新しく収録していることだ。本稿では、本書より2つの極意をご紹介したい。

粘り強くしなやかに立ち直る「レジリエンス」の重要性

 著者が米海軍爆発物処理チームのリーダーにインタビューしたとき。その上官は海中で爆発物の処理にあたっていたのだが、海底にはまりこんで身動きがとれなくなってしまった。絶体絶命の大ピンチ。このとき上官はこう考えた。

「呼吸ができている。これはいいぞ。ほかにできそうなことは何だろう?」

 楽観主義はときどきマイナスな一面として捉えられることもあるが、コロナ禍のような非常時には大変役立つ。どのような逆境においても、まず良い面に目を向けて、現状を客観的に把握することで、あくまでも冷静に、自分がコントロール可能なことに集中し、問題解決に向けて適切なステップを踏めるからだ。

 著者によると、人は1分間に300~1000の言葉を頭の中でつぶやいているという。想像以上に私たちは、セルフトークを交わしているようだ。おそらくコロナ禍において、頭の中がネガティブなつぶやきであふれ返っている。ネガティブな一面も悪いことばかりではないが、この非常時において必要以上に自分を追い込むのは危険だ。

 真の非常事態とは、何も打つ手がなくなってしまったときを指す。どれだけ腹立たしく不安に思うことがあっても、できることが残されているならば、まずそこに力を注ごう。この状況を好転させるためにできることを考えて行動しよう。

 そのために頭の中をネガティブ一色に染めるのではなく、米海軍の上官のように、ポジティブなつぶやきで自分を鼓舞したい。著者はこの考え方を、粘り強くしなやかに立ち直る「レジリエンス」と表現し、心の回復力の重要性を訴えている。

コロナに負けじと幸せのパンデミックを起こそう

 コロナに立ち向かう「レジリエンス」を得たところで、次に私たちが実行に移すべきは、人と人のつながりである。ステイホームを余儀なくされている今、多くの人が孤独な生活を送る。

 著者が本書で示したエビデンスによると、深い孤独感に襲われることは、見知らぬ人間から殴打されることに匹敵するという。一方で別のエビデンスによると、私たちの幸福の70%は、友達、家族やパートナー、同僚や知人など「他者との関係」によってもたらされるらしい。

 だから対面で会えない今こそ、メールで、電話で、オンラインで、誰かと集まって話そう。話す内容はなんだっていい。よい機会なので、長く連絡を取っていない昔の知人や友人にアタックしてみるもよし。

 このとき助け合いの精神も大事にしたい。哺乳類は進化の過程で、誰かが誰かを助ける姿を見ると、自分も助けたくなる「利他主義」を獲得しているという。またある科学者は、誰かに親切にすることで一時的に幸福感を増やせると述べているそうだ。

 たとえ対面で会えなくても誰かとつながることで幸せが増す。さらに助け合いの精神が発揮できれば、もっと幸福感を増やすことができる。どれだけコロナのパンデミックで押しつぶされそうな日々を過ごそうとも、私たちが本気で望めば、幸せのパンデミックを起こせるはずだ。

 今年の2月頃からコロナと一進一退の闘いが続く。どうにも終着が見えず、不安がで胸が張り裂けそうで仕方ない。わたし個人の考えでは、そんな気持ちになることは当たり前だと思う。大切なのは、その気持ちから逃げず真正面から向き合い、それでも一生懸命に生きるひたむきさではないか。

 そのうえで本書が説く「コロナ時代を生き抜く方法」は共感することでいっぱいだった。もし今、心にじわりと不安な色が広がって苦しくてたまらないならば、ぜひ本書を読んでコロナと真正面から闘う術を得てほしい。

文=いのうえゆきひろ

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