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「かくしごと」最終回を迎えた父娘愛コメディ…感動の結末、アニメ版の見どころは?【ネタバレアリ】

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「かくしごと」最終回を迎えた父娘愛コメディ…感動の結末、アニメ版の見どころは?【ネタバレアリ】

2020年4月より放送されたアニメ『かくしごと』が最終回を迎えた。いままでのコミカルなテイストとは裏腹なしっとりとしたラストに、視聴者からは「感動した」「泣いてしまった」などの声が溢れている。

なぜ、最終回で多くのファンの感動を呼び反響になったのか。いま一度作品の魅力である父娘愛やコメディ要素、アニメ制作にあたって盛り込まれた工夫、そして原作者について迫ってみた。

■作者も「下ネタ」マンガ家? マンガ家あるあるネタが面白い


『かくしごと』は「月刊少年マガジン」(講談社)にて2016年から連載が開始され、原作は7月6日発売の本誌にて最終回を迎える。
作者は『さよなら絶望先生』、『かってに改蔵』などでも知られている久米田康治だ。

物語の主人公、ちょっと下品なマンガを描いているマンガ家・後藤可久士は、一人娘の小学4年生の姫に自分の仕事を隠していた。
このタイトルは“描く仕事”と“隠しごと”をかけたものであり、頓知の利いたギャグを持ち味とする、実に久米田先生らしいタイトルである。登場人物の名前も、「後藤可久士(隠しごと)」「後藤姫(秘めごと)」など、ほぼダジャレになっている。



元々の作品を描くきっかけは編集からの「マンガ家もの」の提案だった。だが、同誌ではすでに「マンガ家もの」の作品がヒットしてたことや、自身のマンガ家としての熱いエピソードがなかったため「自分にとってマンガ家は隠すもの」と答えたところ、「じゃあそれで」と決定したという。
この「マンガ家もの」に“隠す”というシニカルさを混じえたテーマも、ブラックジョークをふんだんに織り交ぜる作者の持ち味を引き出している。

可久士のモデルは、同じく過去に下ネタマンガ家として定着していた作者自身のように見えるが、共通するのはその点のみで性格は真逆だと語っている。ただ、物語の随所に盛り込まれた“マンガ家あるあるネタ”は、実話からフィードバックを受けたエピソードが多く使われているとのこと。
漫豪「不二多勝日郎」など実在しそうなマンガ家も登場するほか、「〆切前の現実逃避で餃子をつくる」「マンガ家は休みに必ず風邪を引く」など現場のリアリティが伝わってくるエピソードは、読み手側からするとなかなか興味深いものだ。

■コミカルとシリアスの二部構成によるストーリーテリング


本作は後藤親子のほか、アシスタントや編集部、姫の学校の友達らの日常が描かれる。姫は犬を飼いたいとねだったり、家が貧乏だと思い込み節約してみたりと、等身大の小学生として映し出されている。
純粋無垢な彼女の行動を見ていると、「こんなことを不思議に思ったり考えたりしたときもあったなぁ」と懐かしい気持ちを思い出してしまう。また、縁側で並んで歯磨きをしたり、2人で誕生日をお祝いしたりして、父と仲良く過ごしている姿も微笑ましい。



最終話では、18歳に成長した姫を中心に展開。同時に、可久士は意識を失い入院していた。意識を取り戻すも記憶喪失状態で、いつもとは違うシリアスな展開に、視聴者もこれまでとのギャップに驚いたことだろう。姫が成長した話は、原作コミックスではカラー8ページにわたって毎回描き下ろしで追加されていたもの。アニメでは第1話より18歳の姫がちらちらと登場しながら伏線も散りばめられており、最後は伏線が回収され感動の大団円で幕を閉じた。
なお、前述の『さよなら絶望先生』、『かってに改蔵』などのラストでも「隠された事実」が明かされ、ギャグマンガでありながら秀逸な展開を迎えた共通点がある。

■「久米田作品」の世界観を彩るキャスト・スタッフの布陣


声優には、神谷浩史、高橋李依、花江夏樹、内田真礼など旬なキャストが勢揃い。監督は、自身も小学生の頃から久米田先生のファンである村野佑太が務めた。

可久士を演じたのは、『さよなら絶望先生』で主人公・糸色望を演じた神谷だ。久米田作品を知り尽くしていることもあり、一度は製作委員会で名前が挙がったものの、村野監督はそういった理由で決めることに抵抗を感じ、「神谷さんに対しても失礼ではないか」と考えてオーディションをする運びとなった。その結果あらためて神谷が選ばれ、監督は「神谷さんが完璧に自分の中の可久士像を捉えてくださった」と話している。



一方、娘の姫役も10歳と18歳を演じ分けなければいけない難しい役どころ。アニメに登場するかわいらしい幼女ではなくリアルな“10歳”が求められ、オーディションには声優のほかに子役も参加している。姫役を演じることになった高橋は、ときにかわいく、ときに大人っぽく見事な演じ分けを披露した。

そのほかにも、キャラクターデザインや美術などのスタッフについては、「久米田先生の世界観を忠実に再現することに意欲を持てる人」、音響やシリーズ構成に対しては、「ギャグを上品にまとめあげられる構成力を持っていること」が求められ、そうした素養のあるクリエイター陣が集結。ファンだと語る監督だからこその“ファン”と“監督”の2つの目線を両立させながら、アニメならではの見せ方を工夫した。

また、作品の大きなポイントになる楽曲。
OPテーマはflumpoolによる「ちいさな日々」。爽やかに歌い上げられた楽曲に対して、久米田作品のイメージとのギャップを感じた視聴者も多かったのではないだろうか。だが、映像は「久米田先生らしさ」を意識してつくられており、原作を読んでいるような構図が取り入れられている。



EDテーマは80年代にリリースされた名曲「君は天然色」を大滝詠一の原曲そのままに使用。映像はコミックスの表紙のタッチに似た80年代アートのようなコントラスト高めの配色で鮮やかに仕上げられている。第1話放送時には、曲が懐かしいという声のほか、映像がきれいなどと評判になった。

■終わりに
久米田作品を期待して見た人、作品を知らないで見た人、どちらにも楽しめる要素が活かされていた作品だったと感じる。
ギャグとシリアスがとてもいい塩梅で、そして畳み掛けるように訪れるラストの見せ方には、多くの視聴者が深く印象を残されたことだろう。
アニメ化決定当初、久米田先生から「僕の最後のアニメ化作品になると思う」とコメントされていたが、ぜひ次なる作品を隠していることを期待したい。

(C)久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会

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