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影山貴彦のウエストサイドTV 16 「テレビよ、今こそメディアの先輩、ラジオに学べ!」 影山貴彦のウエストサイドTV【16】

テレビドガッチ


日頃から、「テレビが大好き。そしてラジオのことは愛してる」と、申し上げています。
テレビとラジオの番組企画・制作に16年弱携わった後に大学教員となって、放送を中心としたエンターテインメントジャンルの教育・研究に従事し19年目となる私にとって、テレビとラジオを思う気持ちは、まあ大抵の人には負けないぞ、という矜持があります。
 
6月上旬に、親しくしている通信社の記者の方から、ラジオに関する取材を受けました。新型コロナウイルスの影響が続く中、ラジオを聴く人が増えているというテーマでした。トータルで2割、時間帯によっては4割も昨年に比べて聴取率が伸びているといいます。
 
私は、ラジオの魅力を「や・ゆ・よ」と表現しました。すなわち、「やさしく」、「ゆるやかで」、「よりそう」メディアの特質が、ラジオを聴く人を増やしている大きな原因だろうとお答えしたのですが、その後、「や・ゆ・よ」を新聞の見出しにしていただいたり(「京都新聞」)、1面コラムに取り上げてくださったり(「西日本新聞」)、関西を代表するラジオ番組で紹介いただくなど(「ありがとう浜村淳です」)、ありがたい広がりを見せ始めています。
 
さて、一方のテレビです。この連載コラムでも、これからの社会のキーワードは「やさしさ」だと折に触れて述べてきているのですが、この「やさしさ」が、テレビからどうも伝わりにくくなっている気がしてなりません。ラジオは、震災等の自然災害などをきっかけに、リスナーから賞賛されることが益々増え、テレビは、逆に視聴者から揶揄されることが急増しているのは、気のせいではないでしょう。

もちろん、接触する人の数が違うわけですから、その影響力もラジオとテレビでは大きく異なるでしょう。「背負ってるものが違う」と言ってしまえばそれまでなのですが、テレビの世界は、コロナの少し前から、どうにも余裕を失っているようにしか見えないのです。
 
余裕がない人間は、他人にやさしくできないもの、当たり前ですよね。テレビはどうして余裕を失ってしまったのか、「不景気」なのか、「コンプライアンス」なのか、「SNSの洪水」なのか。それとも、何か別の要素があるのか。「日常が戻ってきました!」などと、いささかはしゃぎ過ぎの感があるここ数日のテレビですが、少し落ち着きませんか?
 
テレビに比べてラジオには、潤沢な予算はありません。ただ経済的な余裕はないかもしれませんが、精神的なゆとりはあるように映ります。ゆとりは安心につながります。安心がやさしさにつながります。今こそテレビが学ぶべき師匠は、ラジオであると強く思っているところです。

執筆者プロフィール
影山貴彦
同志社女子大学メディア創造学科教授
(メディアエンターテインメント)
コラムニスト
元毎日放送(MBS)プロデューサー・名誉職員
ABCラジオ番組審議会委員長
上方漫才大賞審査委員
著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」、「テレビのゆくえ」、
「おっさん力(ぢから)」など

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