自分を変えるためには「期待しないこと」が大事なのか
自分を変えるためには「期待しないこと」が大事なのか
 どんな形であれ、生きていく上で他人との関わりは絶対に避けては通れない。人間関係はどこでも発生しうるだけに、それに関する悩みを抱える人は多いものだ。『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』(高石宏輔/春秋社)は、著者の体験も交えて人間関係の捉え方についてつづられている。
『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』(高石宏輔/春秋社)

 どんな形であれ、生きていく上で他人との関わりは絶対に避けては通れない。人間関係はどこでも発生しうるだけに、それに関する悩みを抱える人は多いものだ。『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』(高石宏輔/春秋社)は、著者の体験も交えて人間関係の捉え方についてつづられている。

 往々にして、人間関係において重視されるのは「相手とつながっている」という感覚ではないだろうか。この感覚を得ている時の状態を示す言葉が“同調”である。この同調が起きている時は、自分と相手の動きや筋肉の緊張具合までもが同じような感じになるのだ。

 たとえば、歩いている時の歩調が同じだったり、水を飲むタイミングが重なったりといったようなものである。逆に、同調できていない時は、お互いの行動などがかみ合っていないことが多い。会話をしていても一方だけがいやに大きい声で話している状況などがそうだと言えよう。そして、同調ができていない時は意外と多いものだ。同調する時に必要なことは、自分の体の緊張具合と感情を感じること、そして相手に意識を向けることだ。この2つができたとき、自ずと同調できる。

 ちなみに、自分の感情を把握するのにお手軽な方法は色々な人を観察してみることだ。人は、リラックスしている人を見ればリラックスするし、緊張している人を見れば緊張する。そして、こういった心理状態の変化は自分がリラックスしている時ほど顕著に感じることができる。町に出て、少し他人に意識を向けることで生まれる自分自身の状態変化をもとに、自分を観察することと他人を捉えることができるのである。

 どんなに工夫を凝らしても、先述したような“同調”を意識したとしても、人間関係の悩みというのは尽きないものだ。そして、悩みを解消するにあたって、明確に「これだ」と言えるような答えは残念ながらない。本書の著者はこの問題に関して以下のように言い切っている。

“自分自身”には意図的に足すことも引くこともできないということだ。足そうとすれば拒絶を起こし、引こうとすれば今あるものを必死に保とうとする。自分はなかなか厄介なものだ。
悩みが解消するときには、自らの中で自然とごちゃごちゃしたものが整理されて、再構成されてすっきりする感覚がある。外から何か手を加えることはできないが、中身が自然と動き出す。無理に足したり、引いたりして、同じような葛藤をくり返すよりも、その中身の変化を気長に待ってみる方が近道なのだ。

 人はそう簡単に変わらないというが、マンガなどで見るような劇的なきっかけなどなくとも、小さな変化の種は日常のそこかしこに隠れている。中でも大事なのは、自分自身が新しい感覚が生まれることを楽しみにしているかどうかということだ。楽しみにすることで、人はその出来事によって自分の中に生まれる感覚に注意深くなることができる。これにより、自分の変化に気付きやすくなるのだ。

 一方、外から与えられる情報のみに注目していると、自分の感覚に対して鈍感になってしまうことがある。たとえば、おいしいと評判の店に行ってみたり、感動すると宣伝されている映画を観たりした時、それはその感覚を実際に味わう前に特定の感覚を期待してしまっている。仮においしいと評判の店がおいしくなかった時、感動するという評判の映画にそれほど感動できなかった時、残念に思ったり怒ったりしてしまう。これは、最初に外からの情報によって期待された感覚にしか意識が向いていない状態だ。良し悪しにかかわらず、自分にどんな反応が起こるのかを楽しみにしてみることが新しい感覚を得るコツだという。つまり先程の喩えだと「おいしいと評判だがどうだろう」よりも「食べるまでおいしいかどうかはわからないから試してみよう」の方が良いだろうという話である。

 人は嫌な気持ちになる時、往々にして何か(誰か)に「こうあってほしい」と期待し、それが何らかの形で裏切られている。この時、期待に応えてくれなかった相手を責めるのは簡単だが、その前に自分が手前勝手な期待をしていないかを自問自答してみると良いかもしれない。あなたが何を期待していようが、相手にその期待に100%応えなければいけない義務はないのである。

文=柚兎

(更新日:2017年9月9日)

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