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佐藤大樹「観る方が、一也を応援できるような作品にしたい。そんな気持ちで彼を演じ続けた」

ダ・ヴィンチNEWS

 毎月3人の有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』に登場してくれました。映画『小説の神様 君としか描けない物語』で、真っ直ぐで繊細な、売れない高校生小説家・一也を演じた佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)さん。初の黒髪で臨んだ役は、これまで演じてきた役とは、まったくタイプの異なる人物。俳優としての新境地で自身のなかに見つけたものとは?

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佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)さとう・たいき●1995年、埼玉県生まれ。「EXILE」兼「FANTASTICS from EXILE TRIBE」パフォーマー。出演作にドラマ『ワイルド・ヒーローズ』、舞台「錆色のアーマ」シリーズ、映画「HiGH&LOW」シリーズ、『ママレード・ボーイ』『センセイ君主』『4月の君、スピカ。』、CENEMA FIGTERS project『魔女に焦がれて』など。

「これからたくさん本を読んでいこうと。特に小説を。活字からも自分の観点を広げていきたいと考えています」

 ドラマや映画などの映像作品が大好きで、そこから自分の世界を広げてきたという佐藤さん。『小説の神様 君としか描けない物語』で演じた“小説家”という役は、自身のなかにも、そうした影響をもたらしてくれたそう。これからきっと、佐藤さんの周りにはどんどん本が増えていくのだろう。そして、そこには強い味方がいた。

「この映画の監督、久保茂昭さんです。以前、一緒にご飯に行かせていただいたときも、“これは読んだ方がいいよ”と、いろいろ教えてくださって。“後でいっぱい送るからね”と、メールでもお薦めの小説のタイトルをたくさん送ってくださった。“なんて愛があるんだろう”と感激しました」

 そんな久保監督と佐藤さんの縁は深い。

「僕がEXILEに入ったとき、初めて撮っていただいたミュージックビデオも久保監督の作品で。その後、いろんな現場でお会いするたび、“どんどん成長していくね、いつか一緒に仕事をしたいね”とおっしゃってくださって。そして、『HiGH&LOW』シリーズで、それが実現して」

『小説の神様』の主演オファーの依頼を受けたのは、「HiGH&LOW」シリーズのスピンオフ作品、『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』撮影の真っ最中だったという。

「直接、現場に久保監督がいらして、“主演、どうですか?”と。もちろん二つ返事で、“やらせてください!”と。認めてくださったんだな、これまで必死に頑張ってきてよかった、これは自分へのご褒美だと思いました」

 主人公・一也を演じるにあたり、原作者・相沢沙呼さんと一也や小説家について語り合ったのはもちろん、創作については、マンガ家にも話を聞きにいったという。

「一也は、僕にとって初の黒髪の役でもありました。その見かけが表すように、ナイーブで、内にこもりがちな役は、これまでの僕が演じてきた明るいキャラクターに比べ、表現の引き出しをどんどん減らしていくものでもありました。それだけにハードルが高かったけれど、僕は求められるものが大きければ大きいほど燃えるタイプなので(笑)。本作では、“目の芝居”を意識しました。観終わったあともずっと印象に残っていく、そんな場面を作りたいと」

 一也が、橋本環奈さん演じる天才小説家・詩凪と出会い、インスピレーションが湧き出してきたとき、それまでモノクロだった画面がカラーへ――。一也と詩凪が所属する文芸部の4人それぞれの視点から章立てで描かれるという構成をはじめ、500本以上ものミュージックビデオを撮ってきた久保監督ならではの美しく、かつ挑戦的なシーンが、映画のなかには数多くちりばめられている。

「本番の前日に、ロケ地となった足利市の廃校に、文芸部のみんな(橋本環奈、佐藤流司、柴田杏花)と一緒に行ったんです。“僕らが家にいるときより多く過ごしている部室を見てみよう!”と。部室のなかでの、それぞれの定位置をどこにしようか相談したり、こまやかに心が配られている美術や小道具に見とれていました。映像には映らないようなところにまで隠れている監督の愛を全員で確認していたような時間でした」

 その“愛”はスクリーンを通し、しっかりと伝わってくる。“好き”を、あきらめずに挑戦し続けていった先で、一也と詩凪が生み出す物語は、観る人の心に寄り添い、背中をそっと押してくれる。

「思いどおりに物事は進んでいかない。それだけに悔しい思いもするし、挫折もする。一也に共感する人はきっと多いのではないかと思います。観る方が一也を応援できるような映画にしたい――。そんな気持ちで彼を演じていました。一也や詩凪と同年代の方はもちろん、いろんな年代の方にぜひ観ていただきたい作品です」

(取材・文:河村道子 写真:山口宏之)

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