地方大会珍事件簿・ルールの穴編。東海大相模・菅野智之の振り逃げ3ランにインフィールドフライで本盗
地方大会珍事件簿・ルールの穴編。東海大相模・菅野智之の振り逃げ3ランにインフィールドフライで本盗
 全国各地で幕を開ける夏の高校野球地方大会。今年も歓喜と悔し涙が入り混じる熱い夏がやってきた。 甲子園に進むのは49校。不戦敗などを除けば、総出場校数から1を引いた数だけ全国で試合が開催されるまさにビッグトーナメント。これまでの長い歴史のなかでは幾多ものハプニングが起こっている。


 本連載『まさか、なんてこった! 甲子園・地方大会の珍事件集』では、ずばり地方大会で起こった事件を集めてみた。まずは「野球のルール」にまつわる事件簿をお届けしよう。

◎振り逃げ3ラン(2007年)

■神奈川大会準決勝
東海大相模 6対4 横浜

 名門校同士のライバル対決で起きた珍事といえば、まず振り逃げ3ランだ。

 4回表2死一、三塁、東海大相模の攻撃。バッターボックスには菅野智之(現巨人)。カウント2-2から横浜バッテリーが低めのワンバウンドをハーフスイングさせ、審判は「3ストライク」の判定。

 横浜ナインはベンチに引き上げたが、捕手が菅野にタッチも一塁送球もしておらず、2人の走者と打者走者の菅野が無人のダイヤモンドを一周。これが振り逃げと認められて3点が入り、東海大相模は6対0とリードを広げた。

 横浜ベンチは審判がアウトのジェスチャーをしたと抗議したが、認められず。この3点が事実上の決勝点となり、東海大相模が勝利を収めた。

◎投手交代で紛糾、1時間19分の中断(2011年)

■広島大会準決勝
広島新庄 5対4 崇徳

 投手交代のルールで勉強になったという点では、この試合も忘れられない。4対4で迎えた10回表。守る崇徳は阪垣拓哉、松尾達宜の2選手を打者1人ごとにピッチャーとレフトでスイッチする作戦に出た。しかし、「松尾→阪垣→松尾→阪垣」となったところで広島新庄が猛抗議。

 ルール上、同一イニングに2度マウンドに上がった投手は次回降板の際は交代することになっており、松尾が再びレフトを守ることはできないのだ。本来ならば松尾はベンチに退かなければならないが、延長戦で総動員になっており、崇徳ベンチには出場できる選手が残っていなかった。

 ルール確認などのため、試合は1時間19分中断。広島県高野連は審判の不備であるとし、交代前の状態で試合を再開させた。厳密には没収試合になるところだが、そうなっていたらもっと大事件になっていたはず。

 かつて、阪神時代の野村克也監督が「遠山(奬志)→葛西(稔)→遠山→葛西」の継投をしていたが、最後に葛西が登板する際には遠山はベンチに退いていた。


◎サヨナラインフィールドフライ(2012年)

■神奈川大会1回戦
日大藤沢 3対2 武相

 今やインフィールドフライにおけるルール解説の教科書的事例となっている2012年のワンプレー。

 2対2の9回裏、日大藤沢は1死満塁のチャンスを作ったが、打者が内野に打ち上げインフィールドフライ。武相のショートが捕球し、2死満塁。ここで一息入れるため、武相の野手がマウンドに集まったが、タイムがかかっておらず、そのスキを突いた日大藤沢の三塁走者が事実上のタッチアップで本塁に生還し、サヨナラ勝ちになった。

 武相はタイムをかけたと主張したが、三塁走者はショートの捕球後もわずかに離塁しており、ボールインプレーで審判はタイムを認められない状況。タイムがかかっていないことを確認してから帰塁し、タッチアップが成立した。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

(更新日:2017年7月17日)

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