【鉄道メシ】トラベルミステリーの聖地! 湯河原温泉・西村京太郎記念館「茶房にしむら」
【鉄道メシ】トラベルミステリーの聖地! 湯河原温泉・西村京太郎記念館「茶房にしむら」
♪BGM~
(T警部のナレーション)
特急「踊り子」は、東京と伊豆半島を結ぶ観光特急である。
国鉄時代に作られたグリーンのストライプが印象的な185系が今も活躍する。

踊り子105号から消えた男

♪BGM~

(T警部のナレーション)

特急「踊り子」は、東京と伊豆半島を結ぶ観光特急である。

国鉄時代に作られたグリーンのストライプが印象的な185系が今も活躍する。

東京を午前9時ちょうどに発車した「踊り子105号」は、品川、川崎、横浜、大船、小田原、湯河原、熱海の順に停車し、熱海で前より10両は伊豆急下田行に、後より5両は修善寺行きに分割される。

伊豆急下田行は熱海を出ると、網代、伊東、伊豆高原、伊豆熱川、伊豆稲取、河津の順に停車し、終着の伊豆急下田には、午前11時46分に到着する。

修善寺行は、三島、三島田町、大場、伊豆長岡、大仁の順に停車し、終着の修善寺には、午前11時8分に到着する。

それぞれ2時間あまりの少し懐かしい国鉄形電車の旅である。

♪テーマ曲~

~メシ通ワイド劇場~

熱海・湯河原湯けむり殺人ルート~特急「踊り子105号」から消えた男

K刑事:警部! 捜査協力依頼ですっ!

T警部:ナニナニ……

被害者の女性は熱海駅から徒歩20分くらいのホテルで殺害された。 死亡推定時刻は午前10時ごろ。 この女性は、元・交際相手の男とトラブルになっていたことが分かっている。 しかし元交際相手の男は、事件が起きた時間、東京駅9:00発の特急「踊り子105号」で湯河原へ向かっていたとアリバイを主張。 さらに、10:45には、湯河原温泉にある「西村京太郎記念館」の「茶房にしむら」でコーヒーを飲んでいたことが店員の証言で分かっている。 しかし、「踊り子105号」の乗客に、この男らしき姿は無く、東京駅・湯河原駅に設置されている防犯カメラにも、この男の姿は写っていない。 熱海や湯河原周辺で、この男らしき人物を乗せたタクシーや一般車両はない。

K刑事:熱海から湯河原は、普通列車で1駅、所要時間も5分ほどですから、簡単にアリバイは崩せそうなんですが、実はこの10時台というのが鬼門なんですよ! 熱海駅の東海道線上り列車を調べてみると……

10:10 快速「アクティー」小金井行 ⇒ 湯河原10:15着 10:32 特急「踊り子102号」東京行 ⇒ 湯河原10:37着(土休日のみ運転) 10:37 普通古河行 ⇒ 湯河原10:42着

ただ、事件のあった日は、木曜日ですから、特急「踊り子102号」は運休で、10時10分の次は、10時37分まで「27分も」列車間隔が空きます。現場のホテルから熱海駅まではずっと登り坂ですので、10時に飛び出しても、 10:10発の快速「アクティー」に乗るのは、まず不可能でしょう。次の10:37発の古河行に乗ったとしても、湯河原着が10:42ですので、湯河原駅から3分で「西村京太郎記念館」に着くことは難しいのでは……。10:45に「茶房にしむら」でコーヒーを飲んでいたというのは、意外に重要な証言なんですよ! 鉄道やタクシー以外に、移動手段があれば別なんですが……。

N刑事:熱海と湯河原の間には……路線バスもありますねぇ。熱海駅10:15発、伊豆東海バスの湯河原駅行が出ています。これなら湯河原駅に10:35に着きます。

S刑事 :しかも、現場近くには「東銀座」というバス停もあって、ココを10:09に出る熱海駅行の路線バスもあります。ダイヤ上は熱海駅10:17着となっているんですが、1つ手前のバス停から6分もかかっていて、かなり余裕のあるダイヤになっています。もしかしたら、10:15発の湯河原駅行に乗り継げるかもしれませんよ。

H刑事 :あと、湯河原駅に定刻通りに到着すれば、10:36発の奥湯河原行の路線バスもあって、これに乗れば、「西村京太郎記念館」最寄りの「小学校前」バス停は10:39着。バス停から記念館までは徒歩3分とありますから、10:45に記念館1階にある「茶房にしむら」にいることは可能になります。

T警部:!!! 解けたぞ、トリックが……。よしっ、我々も実際に乗ってみようじゃないか?

【妄 想 終 わ り】

お店自慢の「京太郎コーヒー」を

時刻表とにらめっこして、そんな妄想を繰り広げながらやって来たのは、神奈川県湯河原町の「西村京太郎記念館」!

湯河原温泉は、目の前の千歳川を渡れば静岡県熱海市という県境に広がる温泉街です。

トラベルミステリーの第一人者・西村京太郎先生は、東京に45年、京都に20年暮らした後、病に倒れたことがきっかけで、湯河原温泉に居を構えることになりました。

この「西村京太郎記念館」は、平成13(2001)年の秋にオープンし、既に開館から15年あまり。

すっかり湯河原温泉を代表する観光名所の1つとなっています。

記念館に一歩、足を踏み入れれば、早くもそこは「事件現場」!

床の血のりをたどっていくと2階の展示室へ引き込まれるように、上手くストーリーが出来ています。

でも今回は、『メシ通』の取材ですので、そのまま1階に進んで……。

やって来ました「茶房にしむら」!

「西村京太郎記念館」の1階は喫茶室になっていて、千歳川の流れを眺めながら、温泉街散策の合間に、ゆったりとひと息つけるスポットとなっています。

実は「西村京太郎記念館」の入館料「820円」には、炭火焼コーヒー(570円)の料金も含まれていて、その豊富な資料を見学した後は、この「茶房にしむら」でお茶をしていくことが出来るのです。

でも、ミステリー好きならいただきたいのが……?

「京太郎コーヒー」(1,230円、入館者は980円)!

西村先生のサイン入りコーヒーカップで炭火焼コーヒーをいただくことが出来ます。

しかも、このコーヒーは、普段から西村先生が愛飲されているオリジナルブレンド!

香ばしい香りは勿論、非常になめらかな口当たりで、気持ちよく喉を通っていきます。

「茶房にしむら」炭火焼コーヒーのブレンド比率

ブラジルサントス 40% コロンビア 30% モカ 20% ブルーマウンテン 10%

さらに、この「京太郎コーヒー」のサイン入りコーヒーカップセットは、そのまま「お土産」に!

実際に手にすると、軽くて持ちやすい陶器なので、自宅で使うのも結構楽しいかも。

時々、「自分が飲んだものを洗って持っていくの?」と思われる方がいるそうですが、もちろん、お土産用に未使用のカップセットが用意されていますのでご安心を……。

「十津川警部どら焼き」も

「京太郎コーヒー」のお供に最適なのが、「十津川警部どら焼き」(216円)。

東京・三鷹の有名店「末廣屋喜一郎」が手がけたもので、国産小麦粉、砂糖、卵、北海道産大納言など、厳選された食材を使った甘みサッパリ、大人のどら焼きです。

お店の方によると、十津川警部シリーズのTVドラマを制作されたプロデューサーさんの縁で、2年ほど前に誕生し、人気を博しているとか。

5個入り1,000円の箱詰めもあり、コチラは土産に最適です。

2階の展示室には、西村先生の最新作からかつての名作まで、数多くの作品を販売しているブースもあります。

しかもこれらは全て、直筆サイン入り!

気に入った一冊を片手に「京太郎コーヒー」と「十津川警部どら焼き」を味わえば、「西村京太郎ワールド」を満喫することが出来ます。

勿論、私も最新作、『十津川警部 雪とタンチョウと釧網本線』を買っちゃいました!

西村京太郎先生にも会える!

実は私も“文章を書く”まねごとを始めたのは、中学生時代にTVドラマで三橋達也さんが十津川警部、愛川欽也さんが亀井刑事を演じた『西村京太郎トラベルミステリー』を見たのがきっかけです。

最初に見た作品は、日本海縦貫線を10時間以上かけて走り抜けていた特急「白鳥」が舞台になった『日本海殺人ルート』だったと記憶しています。

それから間もなく30年、まさか私自身、文章を書く仕事をすることになるとは……。

加えて私自身、温泉も大好きなんですが、そのきっかけとなったのも、実は高校時代に学校をサボって行った湯河原でした。

西村先生と湯河原温泉……私自身、不思議な縁を感じる場所でもあります。

人生もまた「ミステリ-」ということでしょうか。

「西村京太郎記念館」からほど近い場所を駆け抜けていく東海道新幹線N700A。

「茶房にしむら」には、西村先生のファンのみならず、ミステリー好き、ドラマ好き、鉄道好き、さらにはたまたま立ち寄った観光の皆さんと、さまざまな人がやって来るといいます。

特に日曜の午後は、ほぼ毎週、西村先生がやって来てサイン会が開かれることもあって、特に多くの皆さんでにぎわうのだそうです。

先生にお会いしたい方は日曜日、ゆっくりとミステリーの世界を楽しむなら平日がおすすめです。

新幹線に並行する東海道線も、ステンレスの通勤タイプの車両が多くなり、定期の長距離列車は、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」くらいになってしまいました。

それでも、西村京太郎先生の創作意欲は衰え知らず。

御年87歳を迎えられる今もペースは変わらず、来年には通算600作に迫る勢いだということです。

東京から東海道線に揺られて西湘の海を眺めながら、湯河原のお湯にのんびり浸かって、トラベルミステリーの世界を堪能しに出かけてみてはいかがでしょうか?

お店情報

茶房にしむら

住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上42-29 西村京太郎記念館内
電話番号:0465-63-1599
営業時間:9:00~16:00
定休日:水曜日(水曜日が祝日の際は翌木曜日休業)

※この記事は2017年5月の情報です。
※金額はすべて税込みです。

書いた人:望月崇史

1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。

連載:ライター望月の駅弁膝栗毛|ニッポン放送「しゃベル」ラジオ ブログ:駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分
(更新日:2017年7月14日)

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