血液の中にいる他の細胞たちからも愛されている血小板ちゃんたち。小さな身体で一生懸命お仕事をする姿は、愛おしさひとしお。こんなにかわいらしく描かれている彼女たちですが、血液の中では大切な成分です。
身近なモノの擬人化って面白い!
たとえば、血液の粘度を高めて餅状態にした「血餅(けっぺい)」は、止血や回復のために作られます。注釈を読むと「ふむふむ、そういう言葉なのか」とわかるので、漫画を楽しみながら勉強しているような感覚になります。
血栓が完成するシーンでは、凝固因子という少し難しそうな仕組みが説明されていますが、絵になることでとてもイメージしやすいです。
スピンオフ作品なので、血小板ちゃん以外の魅力的なレギュラーキャラクターもちょこちょこ出てきます。安定のマクロファージさんの強(つよ)かわいさも健在。好きなキャラクターが見つかると、本編や他のスピンオフを合わせて読めるのも『はたらく細胞』の良さです。
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身体の仕組みを知ると、自分をもっと大事にしたくなる
血小板ちゃんたちが白血球さんに肩車して運んでもらう擬人化も、調べながら読むと「なるほど!」と思いました。いきなり難しいことを勉強するのではなく、まずは仕組みを絵から易しく知り、「これはどういうことなんだろう?」と調べるきっかけになっています。
自分の身体の中で毎日起きている細胞たちが、こんな風に頑張っているのかと感じられるので、『はたらく血小板ちゃん』の漫画を読んでいると、自然と自分の身体を尊敬したりビックリしたり、どんどん興味を持って好きになっていきます。
生きているだけでこんなに複雑な作業をしているんだ。しかも毎日! 知ることで、日々の自分の身体をもう少し大切にしたくなります。かわいい漫画とほんわかした物語で、自分のことを知っていく。知るから愛おしくなる。生きているってどうしてなんだろう、を学べる素敵な漫画です。
レビュワー
AYANO USAMURA
Illustrator / Art Director
1980年東京生まれ、北海道育ち。
日常を描くイラストが得意。好きな画材は万年筆。ドイツの筆記具メーカー LAMY の公認イラストレーター。
著書『万年筆ですぐ描ける!シンプルスケッチ』は英語翻訳されアメリカでも販売中。
趣味は文具作りとゲームと読書。
https://twitter.com/ayanousamura
本の紹介
体の傷も 心の傷みも 血小板(わたしたち)が治します!
37兆個の細胞がはたらく人間の身体の中でも、とりわけの人気者。
この小さな女の子たち血小板ちゃんは、こう見えて止血のプロフェッショナルなのです!
そんな彼女たちの日常や仕事ぶりを、ホッコリかわいくお届けします!