「イチローのプレーには気品がある」監督大絶賛も……第4外野手の苦悩が。
「イチローのプレーには気品がある」監督大絶賛も……第4外野手の苦悩が。
 47打席で45打数8安打、打率.178。 35試合(5月13日終了)を消化した時点でのイチローの成績である。この間、先発出場は5試合。1試合平均の打席数は、今のところわずかに1.34しかない。

MLBのプレー解析システム「スタットキャスト」が、イチローのファインプレーを「5つ星」判定! (photograph by Kyodo News)

 47打席で45打数8安打、打率.178。

 35試合(5月13日終了)を消化した時点でのイチローの成績である。この間、先発出場は5試合。1試合平均の打席数は、今のところわずかに1.34しかない。

 打線の中軸を担うクリスチャン・イエリチ、ジャンカルロ・スタントン、マルーセル・オズナのレギュラー外野陣は平均年齢26歳の若さ。故障もなければ極端な成績不振者もいない現状では、1日1打席の仕事が多くなっても仕方のないところだ。

 昨季の同時期と比較しても、先発出場7試合、49打席で44打数13安打、打率.295。打率に大きな差があるのは気になるが、出場機会はほぼ同じである。

 今更ではあるが、第4の外野手は忍耐力が求められる仕事であるとつくづくと強く感じる。

 それでも、ひとたび先発出場を果たせば際立つ存在感を発揮している。

引っ掛けたゴロでも、見せ場に変えてしまう!?

 5月3日のレイズ戦との交流戦。

 「9番・右翼」で11試合ぶりに先発出場したイチローは走攻守に於いて、まるで水を得た魚のようだった。

 打撃では2点を追う6回無死一、二塁。打者としては右方向へ安打を放つことがベストケース。

 逆に投手はそうはさせまいと配球する。

 カウント2-1から外角に沈んでいく91マイル(約146キロ)のシンカーに対し、イチローはバットヘッドを立てながら巻き込むように右前へと運んだ。

 まさに技ありの一打。満塁へと好機を広げ、この回一挙5点の逆転劇へと繋げた仕事は見事と言えた。

 走塁では7回だった。84マイル(約135キロ)のスライダーを引っ掛け一ゴロとなったが、ここからが見せ場となった。

審判も欺くイチローの“忍者走塁”。

 一塁手のタッチを掻い潜るようにスライディングし、左手でベースタッチ。しなやかな体の動きでスリーフィートオーバーを防ぐ身のこなしは、とても43歳のものには見えなかった。

 一塁手は必死にヘルメットにタッチに行ったが、判定はセーフ。

 ビデオ判定の末にアウトに覆ったが、一度はセーフと判定させた忍者走塁はまさにイチローならではのもの。本人もこのプレーには満足げだった。

「(タッチは)されていますけど、(タッチされた)ヘルメットが動いていなかったんで、(判定を)変えるのは難しいだろうなと思ったけどねぇ」

イチローの美技は「5つ星キャッチ」と分析された。

 そして、締めくくりが守備。

 4点リードの9回2死一塁。打者は右のスーザ・ジュニア。あらかじめ右中間寄りに守っていたイチローに対し一塁後方へ飛球は上がった。

 スタートよくダッシュし最後はスライディングキャッチの好捕でゲームセット。イチローもギリギリのプレーであったことを明かした。

「(グラブに)入ってくれれば、という感じです。僕が声を出したんで(二塁手は)どいてくれると信じていきました」

 メジャー公式サイトご自慢の解析システム「スタットキャスト」では、最初の守備位置から捕球できる確率は21%と分析した。

 その上で「5つ星キャッチ」と最大級の評価で超美技を称えた。

 何を基準に21%の捕球確率なのかは不明だが、このスーパープレーに驚きを隠さなかったのは、今季から同僚となった田澤純一だった。

 ほぼ正面となる三塁側ブルペンから見守った右腕は「あの飛球を捕れる外野手はイチローさんしかいない」と感嘆し、更に続けた。

指揮官は大絶賛するも、スタメンは遠い!?

「イチローさんはまるで『普通のプレーだよ』って言う顔をして平然とベンチに走って戻ってきたんですよ。本当に格好いいですよね。すごいです」

 興奮冷めやらぬ様子で話すのはドン・マッティングリー監督も同じだった。

「あのプレーで(守護神の)ラモスを投入せずに済んだ。我々にとって大きなプレーだが、典型的なイチローのプレーだった。彼は難しいプレーも簡単に捕っているかのように見せる。プレーに気品があり、見ていて楽しいよ」

 指揮官も大絶賛。

 なのに、イチロースタメンの機会はなかなか訪れない。

 今は、打率と出場機会の上昇をじっと待つしかない、と言うことか。

text by 笹田幸嗣
「イチ流に触れて」

(更新日:2017年5月19日)
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