清宮幸太郎(早稲田実)と安田尚憲(履正社)。東西の怪物はセンバツ決勝で交わるのか?
清宮幸太郎(早稲田実)と安田尚憲(履正社)。東西の怪物はセンバツ決勝で交わるのか?
 3月19日から第89回選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)が開幕。『やきゅう(89)』回となる今センバツの主役は清宮幸太郎(早稲田実)で間違いない。この怪物スラッガーに各校のエースが挑んでいく、というのが今大会の構図だ。

 そのなかで唯一と言っていいほど、清宮の対抗馬として名前が挙がるスラッガーがいる。履正社の安田尚憲だ。「東の清宮、西の安田」。そんな見出しが報道でも見受けられる。

 東西の怪物はセンバツの舞台で交わるのだろうか。それが今センバツ大きな関心事の1つだ。

◎「西の怪物」へのリベンジを期す清宮

 東京北砂リトルの小学生時代、調布シニアの中学時代から注目を浴びていた清宮。鳴り物入りで入学した早稲田実では1年夏に甲子園に出場。5試合で打率.474、2本塁打、8打点と圧倒的な存在感を残した。早稲田実の大先輩・荒木大輔(元ヤクルト)が成し遂げた5季連続出場の再現に期待が高まったが、2年時に甲子園出場はならなかった。

 新チームになり主将として臨んだ昨秋の東京都大会。決勝までは危なげなく勝ち進んだ。しかし、決勝の日大三戦で櫻井周斗の前に5打席連続三振を喫する。内角を攻め外角へ逃げるスライダーで空振りを奪う定石通りの櫻井の投球に翻弄された。

 しかし、早稲田実には3番・清宮が封じられても4番・野村大樹がいる。そういわんばかりに野村がサヨナラ本塁打を放ち8対6で勝利。明治神宮大会への出場を決め、センバツ切符も確かなものとした。

 明治神宮大会では静岡の池谷蒼大、福大大濠の三浦銀二といった注目投手を打ち崩し決勝へ。履正社と対戦した決勝では、初回にライバル・安田の前で本塁打を放つも6対11で敗れ準優勝。この決勝では安田も負けじと一発を放った。今センバツの舞台でリベンジを果たしたい。

◎昨秋日本一の原動力となった安田

 高校通算44本塁打を放っている履正社の安田尚憲はなにかと清宮と比較される。大型スラッガーという共通点、東京と大阪という二大都市の対比。また、「小学生時代から注目を浴びていた清宮に匹敵する素材なのか?」と疑問符を投げかけられることもある。

 しかし、決して過大評価ではない。昨秋は公式戦16試合で打率.420、4本塁打、22打点と結果を残した。清宮のいる早稲田実との対戦となった明治神宮大会決勝ではしっかりと一発を放ち存在をアピール。履正社初の明治神宮大会制覇に華を添えた。

 秋の王者として臨む甲子園ではほか31校から追われる立場となる。すべての出場校が打倒・履正社を掲げて挑んでくることは間違いない。

 各校の主将が応じた大会前アンケートでは、「優勝するチームは?」の問いに13校の主将が「履正社」と答えた。この結果からも履正社への高評価がわかる。そのプレッシャーに打ち勝つことができるか。それも安田の今センバツでのカギになりそうだ。

 その履正社がセンバツの初戦で対戦するのは、奇しくも早稲田実に東京都大会決勝で敗れた日大三だ。

 履正社には3番・安田の後に4番・若林将平という強打者が控えている。日大三は昨秋、清宮をマークし抑えたものの続く野村に打たれた。その過ちを繰り返さないよう注意して臨むことだろう。まだ初戦の先発投手は定かではないが、清宮を5連続三振に切ってとった櫻井が登板するならば、安田、若林にどう挑むのか注目だ。


◎個人ではなくチームで戦う

 清宮、安田ともに好成績を残すことができる要因の1つには、先述の通り、後ろを打つ強打者の存在がある。

 清宮の後は1年時から4番に座る野村。安田の後は主将の若林だ。若林は昨秋の公式戦で打率.452、3本塁打、24打点と豪打を発揮。安田の後に若林が続くことで「安田敬遠策」を抑止している。まさに「清宮・野村」と「安田・若林」の関係性は同じだ。

 強打者が1人では敬遠されて終わってしまう可能性もある。1992年夏に松井秀喜(星稜)が5打席連続敬遠されたように。しかし強打者が2人続くとなると敬遠策は選びづらい。

 今センバツで、松井秀喜を敬遠策で封じ込めた馬淵史郎監督率いる明徳義塾が早稲田実の初戦の相手となったのは何かの因縁か。高校球界屈指の勝負師・馬淵監督と早稲田実の3、4番コンビの対決も大きな見どころだ。

 清宮も安田も「4番」という相棒がいてこそ、より輝ける。早稲田実には勢いに乗ると止まらないのびのびとしたチーム力がある。履正社は安田、若林だけじゃない強力打線を誇る。組み合わせ抽選の結果、優勝候補の両校がセンバツで再びぶつかるとなると決勝の大一番だ。

 センバツ決勝の舞台こそ雌雄を決する場にふさわしい。

文=勝田 聡(かつた さとし)

(更新日:2017年3月20日)

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