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石原さとみ、娘を懸命に探す母親役に「自分に子供がいなかったら想像できなかった」

WEBザテレビジョン

石原さとみ主演の映画「ミッシング」(5月17日[金]公開)の公開直前「母の日」特別試写会が5月9日に東京・ユナイテッド・シネマ豊洲にて開催され、石原とフリーアナウンサーの三田友梨佳が登壇し、本作に込めた思いや観客からの質問に回答した。

■映画「ミッシング」とは

本作は、吉田恵輔監督がオリジナル脚本で制作した作品。ある日突然いなくなった幼い娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族の物語を描き出す。

事件によって世間の注目を浴びたことで、謂れのない誹謗中傷や好奇の目に晒されながらも、いつか必ず会えること信じて出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を石原が演じる。さらに、青木崇高や中村倫也を筆頭に、森優作、小野花梨、細川岳、有田麗未、小松和重、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純らが集結した。

■娘を懸命に探す“母”の思いを語る

冒頭では、トークゲストでありながら進行も担う三田が「報道に携わってきた人間として、そして母として、映画を深掘りできればと思っております」と意気込む。

まずは、石原が演じた沙織里が懸命に娘の行方を捜す姿がリアルに描かれていたことから、自分自身も母親になった今だからこそ、沙織里に共感したポイントについての質問が飛ぶ。

石原は、撮影中のエピソードで台本の中でのせりふになっていない部分のシーンを撮影した際、「自分に子供がいなかったら想像できなかったなっていう感情がたくさんあって。なんか本当に自分の実体験が生きている役だなぁとすごく感じました」と振り返った。

弱さについては「沙織里自身、誹謗中傷に苦しんでいるのに、弟の圭吾にとてつもないメッセージを送ってしまうところ」と答え、「怒りというのは本当に人を狂わせてしまう。完璧な人間じゃないという部分をより描いているシーンだなとも思いましたね」と回答した。

強さについては「プライドなんて無く、周りからどう見られようということは一切考えず全力で突き進むパワー」とそれぞれの部分を分析。

それを受けて、三田は「自分の命よりも大切な存在ができることで心も体もたくましくなりますよね」と共感を示すと、「子供を背負ってスーパーの重たい荷物も持って、これまでだったら持てない重さのものを軽々持ててしまう自分に驚いています!」と母親ならではのエピソードも披露し、石原も強く共感していた。

また、最近行われた調査にて、今年の母の日に欲しいプレゼント第一位が「感謝の言葉や手紙」「お花」を抑えて、「自分だけの時間」だったことに触れ、石原は自分の時間ができたらしたいことを聞かれ、「友達と過ごしたい!」と回答。

約半年前に新しい友達ができたといい、「30代後半で親友と言える存在ができることは幸せなこと!彼女は根っからのポジティブな人間なんです。子育て話をしたりといっぱい学びがあって、リフレッシュにもなりますし、元気がチャージされますね」と明かした。

■三田友梨佳「悩み続けていた時期があった」

本作では、幼い娘を探す夫婦を追う傍ら、その家族を取材するという、メディアの姿も克明に描かれている。

三田はアナウンサーとして、これまでもリアルな報道の現場に身を置いてきた経験から、「事実を伝えるのが報道。しかし、伝えることで誰かを傷つけてしまうのではという葛藤はずっと抱えながら生きてきました」と語り、「悲しくなるけど現実、という報道の世界も描かれていて、それが胸に響きました」と、まさにメディアの視点からの感想も明かした。

それを受けて、石原は「劇中のせりふで『お気持ちは分かりますが』というせりふに対して沙織里が『どれくらい分かって言っているんですか』と答えるシーンあるのですが、メディアも事実をどれくらい正しく理解した上で報道されているのかなっていうのを疑問に思うことが多々あって。もうちょっと寄り添ってくれたら優しい世の中になるのかなとも思うときもありますし、その先にも視聴者がいて、ちゃんとそこまで見ていかないとなと思います」と、沙織里と同じような思いをしている人がもしかしたらいるかもしれないことへの思いを話し、「いろんな立場の人に見てほしい」と力強くコメントした。

三田は過去にある子供の失踪事件を扱った経験があったと言い「どういうふうに伝えようかというのを悩み続けていた時期があった。なるべく当事者の言葉を大切にしながらフラットに、でも本人には自分の思いが伝わるようにと言葉を選んで発信していました」と当時を振り返る。

「後日、そのお子さんのお父さまから『三田さんの伝え方で少しホッとしました。ありがとうと伝えてほしい』と人を介して聞きました。報道の伝え方に正解はないと思うが、意識したことに間違いはなかったのかなと救われたことがありました」というエピソードを披露。

石原は「三田さんみたいな人がいっぱいいてくれたら…」と感動しつつ聞き入っていた。

■客席からの質問に真剣回答「実は私、主人と見たんです」

続いて、観客からの質問に直接回答するティーチインのコーナーへ。「映画を見て、私と夫との間でも共感ポイントが違う気がしたので、次はぜひ夫を誘って映画館で見てみたいと思いました。お二人はこの映画、誰と見るのがオススメなどありますか?」という質問には、石原は「圧倒的にパートナーだと思います」と回答。

「もちろん家族やお友達と見ても良いと思う」と前置きしつつ、「大切な存在を失ったことって同じだと思う。なのにそこからの行動ここまではっきりと違うというのが描かれているのが見どころ。意見の交換が活発になると思う」とパートナーでの鑑賞を勧めた。

続いて三田は「実は私、主人と見たんです」と切り出し、「産後1カ月ぐらいまでは『沙織里みたいだったよ』と夫に言われました。当時、ただ母としてまだ右も左も分からない中、自分も必死だったんだな」と沙織里の必死さ母として誰もが共感できる姿であると語り、「ママ友と見てみたいですね。それぞれのままでとらえ方も違うと思いますし、話し合いたいなと感じます」と語った。

■撮影現場での青木崇高とのエピソードを吐露「関係性が出来上がっていました」

「夫・豊のふとした言葉に“イラっと”する部分は夫婦ならではの共感があったが、実際に現場でも豊を演じた青木さんに“イラっと”した場面などありましたか?」という質問に、石原は「たくさんありました!」と即答。

「劇中で、ニュース番組で使うために失踪してしまった娘の誕生日を祝うシーンを撮影していた時なんですが、音声は使わないので好きには話してください、という演出だったんですが」と振り返り、その時に「来年こそは一緒にお祝いしようね」という思いを募らせていたそう。

そんな中で、青木が「じゃあ、食べようか」とケーキを切ろうとしたというエピソードが飛び出す。「なんか食べようとしてる!」「食べるところじゃないから!」とカットがかかった後にピシャリ。「あそこはどこを撮られても夫婦に見えていたと思う!関係性が出来上がっていました」と笑いを交えて語った。

■石原さとみ「人間の弱い部分や汚い部分がとても露出されている作品」

「SNSの誹謗中傷など、今の世の中の問題点がリアルに描かれていて怖くなりました。表舞台に立つお二方はSNSに接する上で、気を付けていることなどありますか?」という質問には、石原は「基本的に見るタイプではない」と回答。

「見たとしても『相当バイアスがかかっている』と思っています。アクションを起こそうとしている人はネガティブなコメントの傾向が強いかなと思うので、コメントが入ってきたとしても中央値としては見ていないです」と自身のスタンスをコメント。

三田は「言葉の伝え手としては、この言葉を選ぶことで第三者はどう受け取るのだろうということは常に考えてきた。その先にいる人のことを感じながら言葉を選ぶようにしています。文字にするときは丁寧な表現を心がけています」と話した。

続けて、「言う人ではなく、言われた人はずっと心に残るものですからね。覚えておかなければと思います」と答えた。

石原は「知り合いだったらすぐに謝れたり、行動しないようなことでも、目に見えない人や分からない人には積極的になれてしまうのが怖いなと思います。ですので、何かアクションを起こすときに、あなたの大切な人だったら? と一瞬でも踏みとどまってほしいなと思います」と熱弁。相手へのリスペクトをとにかく忘れないということを、二人そろって力説する場面も。

最後に、石原から「大切な方がいらっしゃれば、その人のことをよりもっと大切にしたい、愛したいという、当たり前なことに対して感謝ができる作品だと思います。また人間の弱い部分や汚い部分がとても露出されている作品だと思います。普段だったら向き合えない部分に向き合える、映画館で見るからこそ没入できる中で、最後の温かさを感じられると思います」と本作に込めた思いを改めて語り、客席からの温かい拍手に包まれて、イベントは終了した。

 
   

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