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間宮祥太朗のまっすぐな演技が胸を打つ!明治後期、差別に苦悩する青年を演じた名作「破戒」

HOMINIS

上映中の映画「変な家」では主演を務め、オカルト専門の動画クリエイターを好演、また、主演ドラマ「ACMA:GAME アクマゲ-ム」も話題になっている俳優・間宮祥太朗。エリートサラリーマンからヤンキーまで、これまで幅広い役を演じてきた間宮が、自身の出自ゆえに苦悩する主人公を演じきったのが、島崎藤村の名作を60年ぶりに映画化した「破戒」だ。

間宮祥太朗が主演を務めた「破戒」

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

本作は1948年に木下恵介監督、1962年には市川崑監督と、巨匠たちによって映画化されてきた作品で、長い月日を経て、2022年にメガホンをとったのは前田和男。椎名桔平主演の映画「発熱天使」(高崎映画祭招待作品)や、キネマ旬報「文化映画部門」ベストテン7位に輝いた「みみをすます」(教育映画祭最優秀賞・文部科学大臣賞)などで知られている。また、脚本を「クライマーズ・ハイ」、「孤高のメス」、「ふしぎな岬の物語」で日本アカデミー賞優秀脚本賞ほか数々の受賞歴を誇る巨匠・加藤正人と、「バトル・ロワイアルII鎮魂歌」で第58回毎日映画コンクール脚本賞を受賞した木田紀生が手掛けた。

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

間宮が演じているのは、自分が被差別部落出身だということを隠して、信州の尋常小学校の教員として働く瀬川丑松。丑松の友人で同僚教師の銀之助を矢本悠馬が、丑松が密かに心を寄せる士族出身の志保を石井杏奈が演じている。会見当時、間宮を起用した理由について監督は、「美しさと寂しさが決め手だった」とコメントしていた。その期待に応えるかのように、陰りのある美青年の苦悩と純真さを間宮は実に繊細な演技で表現している。

■まっすぐで優しいゆえに苦しみ続ける難役に間宮が挑む

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(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

時代は明治後期。被差別部落出身だということが周りに知られたら最後、職を追われるのはもちろん、住んでいるところからも立ち退かないとならなくなってしまうという時代。子供にも大人にも分け隔てない態度で接する丑松(間宮)は、クラスでも「瀬川先生」と慕われる存在だ。言葉遣いも所作も美しく、穏やかな性格だが、誰にも自分の出自を明かせないまま、教師として働いている。

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

丑松は「人間はみな等しく尊厳を持つものだ」と主張する被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)の本に感銘を受けているが、そんな丑松を同僚の銀之助は、「あまり思い詰めない方がいい。一本気なところは師範学校時代から変わらんな」と心配している。そんな心配もよそに、丑松は猪子に読者として何通も手紙を書き、やがて2人は実際に会うことになる。

出自を本の中で明かし、自身の考えを堂々と語る猪子に丑松が感動し、キラキラとした目で「どうしたら先生のように強くなれますか?」と問いかけ、人間の差別について意見を交わす場面は非常に印象的だ。信念を持つ猪子に、丑松は自分のことを打ち明けようとするが、頭にこびりついて離れないのは、子供の頃に父親から言われた「身を立てるため、素性を隠せ」という教え。濁りのない心を持つゆえに悩む青年の切なさが、間宮の視線や表情から伝わってくる。

■恋をした女性にも自分の本当の気持ちを言えないもどかしさ

(C)全国水平社創立100周年記念映画製作委員会

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