例えば犬が何か口に咥えているときにそれを取ろうとすると、咥えているものを守ろうと筋肉が硬直したり、目だけ動かして警戒するような様子が見られます。
実はこうした様子も犬が示すサインで、「近づくな、これはぼくのだ、放っておいてくれ」といったような意味を持ちます。
それを無視すると唸りが出てきて、さらにその唸りがどんどん低く大きなものとなり、最終的に攻撃をしてくることは容易に想像できるでしょう。
しかし、そのサインを見逃したり無視することをしなければ噛み付くという攻撃行動を犬がすることはありません。
犬を厳しくしつけるのではなく人間が犬を学ぶことが重要
こうした話をすると、そもそも人間に対してそのような態度をとるのがよくないからしつけなければいけないという人も出てきます。
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ですがそれは犬の示すサインを封じ込めるということを意味し、それによって犬はサインを出す前に今の状況を変えるためすぐさま攻撃をするという選択をしてしまうため危険です。
サインを送ってくれるから攻撃の前の段階で対処ができるのに、それを奪うことになんの意味があるのでしょうか。
もし口に咥えているものを取り出したいのであれば、それを口から出してもらえるように何かもっと別の魅力的なものと交換するなどし、さらには普段の遊びのなかで合図に合わせて咥えているものを離すといったトレーニングをすればよいのです。
そしてそのトレーニングも決して厳しくする必要はなく、ポジティブで優しい方法によって犬が「自分のものを奪われるわけじゃない」と思ってもらえるようにします。
犬を厳しくしつけてコントロールしようとするのではなく、人間がボディサインを学び、犬に不安を与えない方法を学び、どうすれば安心してもらえるかを学んでいくことが重要です。
そうすれば犬は攻撃をして身を守ろうとするのではなく、交換するともっといいものがもらえるというような選択をするようになりますし、そうしたポジティブを生み出す方法はいろんな場面で犬に自信や安心感を与えることができるので、しつけをするのであればぜひ双方が楽しいと思える方法を考えましょう。
まとめ
犬を厳しくしつけると噛まないようになるのではなく、むしろすぐに攻撃行動を選択してしまうようになるため決して罰を使った方法はおすすめできません。
また、そのような方法は犬を学習性無力感という状態にしてしまうため、決して健全な状態といえない犬にしてしまいます。
犬が噛むという攻撃行動をするのは自分の身を守るための最終手段でしかないのですから、そんな方法を選択しないといけないような環境にするのではなく、犬が安心できるような環境に変えることで噛まなくても済むように工夫しましょう。
そのためにもボディサインやポジティブな方法を学び、犬をコントロールしようとするのではなく、犬と折り合いをつけながら協力しあえるような取り組みをぜひしてみてください。