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子のない歳の差夫婦…年上夫が妻を想い、“生前に”「家の名義変更」をしたワケ【司法書士が解説】

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贈与の場合は贈与税、相続の場合は相続税がかかります。いずれも、正確な計算方法や納めるべき税額、使える控除の有無などは税理士か税務署で確認しましょう。この額は、専門家に計算してもらうことをおすすめします。

④非課税枠や相続時精算課税制度を使う想定

贈与税には、「年間110万円まで」という非課税枠(税金がかからない上限額)があります。ただし、不動産だけでなく現金などを渡していれば合算します。また、生前に贈与を受けた人が相続時精算課税制度を選択して贈与を受けることもできます。

こうして、最終的に節税できる金額と手続きにかかる費用を比較して、時期を判断する必要があります。

孫に直接贈与する方法も

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子のほかに孫がいる場合、孫に直接贈与する方法もあります。子は相続人なので贈与したあと7年以内にあなた(被相続人)が死亡した場合は相続財産に加算され、相続税の対象となります。

しかし、子がいれば孫は相続人ではないので、あなたが死亡した場合でも、相続税の対象となりません。すべての孫に対して均等に贈与しないと子の間でトラブルになりかねないので注意は必要ですが、相続対策のひとつとして考えられるので、活用を検討してよいかもしれません。

ただし、税の制度は変わることもあるので、専門家に相談してアドバイスをもらいましょう(参照:【図2】)。

【図2】

家族の負担を軽くするには

相続に関して、かかる費用の多い少ないを問題とせず、「財産を生前にきちんと引き継いでおきたい」と考えている人もいます。

「贈与にかかる費用を自分で負担し、子どもにきちんと引き継ぎたい」「あとでもめるのがいやだから、生前に決着をつけたい」などの理由です。

私が実際に関わった例で、夫が妻よりかなりの年長で、子がいないケースがありました。夫が「(自分が先に亡くなるだろうから)妻に相続の手間や税金の心配をかけさせたくない。安心して家に住んでもらいたい」と考え、生前に名義を変えました。遺言で妻に土地と建物を相続させれば結果は同じですが、手間のかかる名義変更の手続きを生前に行い、妻の負担を減らしました。

手続き前に税理士に計算してもらったところ、夫婦間贈与なので配偶者控除が使え、贈与税もかからずにすみました。費用でみれば相続のほうが安くすみますが、理由が明確なら、生前の名義変更を検討してよいと思います。

実際、死後に(相続が生じてから)手続きをする場合は、手間がかかります。たとえば、生前に本人が銀行口座を解約するのはかんたんですが、相続手続きで行う場合は、被相続人の出生からの死亡までの戸籍や窓口に来た人との関係がわかる戸籍謄本などが必要となり、手間が一気に増えることになります。

太田 昌宏

司法書士・行政書士

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