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THE RAMPAGE 川村壱馬が目指す“一番星”とは? 「強くありたいと願う人達のロールモデルに」

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――なるほど、今回の古城でのカットは『Fate』シリーズをイメージしていたんですね。

川村:はい(笑)。結局、撮影機材を持ってイギリスとフランスの国境を越えるのは難しいかもしれない……という話になり、2ヵ国で撮影する案はなくなったんですが、フランス国内で同様の撮影ができる場所を探していただきました。でもまさか、古城(ディエップ城)を貸し切りにして撮影させてもらえるとは思っていなかったので、すごく驚きました。

――写真集のために撮影許可が下りたのは、壱馬さんが初だったとか。

川村:そうなんですよ。シャネルか、僕か、みたいな(笑)。しかも、シャネルの撮影で使ったのは庭だけだったから、城の内部で撮影させてもらったのは僕が初めてで。ギュスターヴ=モローの美術館も貸し切りで撮影させてもらったんですが、こちらも撮影許可が下りたのは今回が初だそうです。

――笑っちゃうくらいすごい(笑)。

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川村:本当に。スタッフのみなさんのおかげで、最高の環境で撮影できました。現地のスタッフさんも優しい方ばかりでしたし、すぐに打ち解けて。美術館のカットは最終日だったんですけど、その頃にはかなりリラックスして撮影してました。

――カメラマンのISACさんとは、以前から面識があったんですか? それとも初?

川村:ファッション系の撮影で一度ご一緒したことがあったんですが、ここまで長時間一緒にいるのは今回が初でしたね。ISACさん、超いいキャラしてるんですよ。安田大サーカスのクロちゃんみたいな雰囲気で、めっちゃ可愛い方なんです(笑)。

――ISACさんとの撮影での印象的なエピソードは?

川村:地下鉄でのシーンが印象的ですね。公共の場なのでご迷惑にならないように、僕とメイクさん、ISACさんっていう最少人数で行くことになって。初めは車内で3人で撮っていたんですけど、駅で停車した時にISACさんがパッとホームに出て、窓越しのカットを撮り始めたんです。でも、ドアを開けておくためには、ボタンを押しておかなきゃいけなかったみたいで、すぐにドアが閉まっちゃって。閉まった瞬間のISACさんの「あっ」っていう顔が絶妙でした(笑)。あの顔、撮影しておけばよかったなぁ……。それくらい面白くて、しばらく爆笑してました。

――他にハプニングはありましたか?

川村:ネボっていうハスキー犬との撮影は、嬉しいハプニングでしたね。

――壱馬さんがXのアイコンにしているワンちゃんですね。

川村:あまりにも可愛かったから、アイコンにしちゃいました。ネボとの撮影は3日目だったんですが、実はその日、自分は撮影内容をあまり把握していない状態で現場に向かってたんです。スタッフさんに言われるがまま。それなのに、なぜか前日の夜、ワンちゃんと戯れてる夢を見て。撮影の準備をしている間、メイクさんに「こういう夢見たんですよ~」って話してたんです。そしたら、ロケバスに乗って移動した先にネボが登場して!

――正夢!?

川村:そう! スタッフさん達からのサプライズだったので、俺はそこで初めて「今日はネボと街中を散歩してもらいます」って説明を受けて、「嘘やん!?」って思いました。

――ということは、メイクさんも……?

川村:俺から夢の話を聞きながら、逆ドッキリみたいになってたみたいです(笑)。ネボとの2ショットの裏では、そんな超能力を発揮してましたね。

――ネボとの撮影の相性はどうでしたか?

川村:いい子でしたよ。時折ハスキーらしく荒ぶったりしていたけど、それが可愛かった(笑)。ネボに良い表情を引き出してもらったなって思います。

――その一方で、上裸のカットにはドキッとする読者も多いと思うのですが、身体作りなど、撮影前に準備していたことはありますか?

川村:身体作りに関しては、そこまでやってないです。やろうと思えばもっとバキバキにできたけど、『SINCERE』の時がバッキバキやったんで、今回は自然体でいいかなと。写真に残す以上、だらしない身体ではダメですけど。最低限、自分が納得できるレベルであればいいと思ったので、あまり気張らずに撮影に臨みました。表情やポージングも、写真集チームのみなさんからアイデアをもらいながら、その場の流れに身を委ねて撮影していきました。

――自分のこだわりを貫くことよりも、チームで作るという意識が強かったんでしょうか。

川村:そうですね。ただ、美術館や城のカットのように、紳士的というか、硬派な雰囲気は表現したいなと思っていたので。そこには自分のこだわりが強く反映されています。

■音楽は言語の壁さえも越える

――壱馬さんが“兄貴”と慕うØMIさん(三代目 J SOUL BROTHERS)も、昨年、フランス・パリで撮影したフォトエッセイ『LAST SCENE』を発売されましたが、ØMIさんには相談したんですか?

川村:しなかったです。ØMIさんがパリで撮影されたのを知ったのが、撮影中だったので。2日目にディエップ城で撮影したんですけど、その帰り道に初めて聞いたんです。だから、「似たようなカットにならないかな? 場所被りとか大丈夫かな?」って、ちょっと心配になりました(笑)。でも、写真を見比べたら全然違う雰囲気に仕上がっていたので、今、ホッとしてます。

――三代目のみなさんにとって、パリは仕事で訪れる機会の多い街のようですし、壱馬さんにとっても、数年後には馴染みの街になるんでしょうね。THE RAMPAGEでフランス公演をした流れで、メンバーに「この城、俺が撮影した城(ドヤァ)」って紹介したりして。

川村:あはははは。

――THE RAMPAGEは近年、タイや韓国などアジア圏での活動が増えてきていますが、海外進出についてはどう考えていますか?

川村:EXILE TRIBEには、BALLISTIK BOYZやPSYCHIC FEVERのように海外進出に重きを置いている後輩グループもいますし、彼らと比べるとTHE RAMPAGEは日本国内での活動が多いんですが、僕らも海外での活動は大事なプロジェクトだと考えています。

――それこそ2ndシングル『FRONTIERS』(2017年リリース)の頃から、カップリングに『Lightning (English Version)』を収録するなど、海外の方を意識したアプローチをしてきましたし、壱馬さんとしては“満を持して”という感覚でしょうか。

川村:はい。当時は漠然とした夢でしたけど、結構早い段階から、いずれは海外進出したいなと思っていました。そんな中、ここ数年でLDHのスタッフさんやアーティストが海外との繋がりを強くして、海外進出の基盤を作ってくれて。ようやくTHE RAMPAGEも大きな一歩を踏み出せたので、日本国内の活動に力を入れながらも、今後は少しずつ訪れる国を増やしていけたと思っています。

――海外でライブをする際に意識していることはありますか?

川村:日本も海外も変わらず、その会場に来てくれている人を満足させられるように、良いパフォーマンスをする。それだけですね。

――昨年11月に初めて韓国で行われたファンコンサートでは、韓国語でのクイズコーナーもやっていたそうですし、積極的に現地の言語を使うことも、心がけていることでは?

川村:確かに、現地の言語で話すとめっちゃ喜んでくれますし、なるべくその国の言葉を覚えて、いろんな国の方と言葉を交わしていきたいなとは思います。でも、それ以上に良い音楽、良いパフォーマンスから伝わるものが大きいということを、昨年の海外公演で感じました。音楽は言語の壁さえも越えるんだなって。

――実際に現地に足を運んだことで、実感したんですね。

川村:他にも、以前から、インドネシアには『HiGH&LOW THE WORST』(川村の主演作)をきっかけに僕を知ってくださっている方がたくさんいるという話を耳にしていたんですが、タイもハイロー人気がすごくて! 昨年は何度かタイでライブをさせていただいたんですけど、初ライブの時に、『SWAG & PRIDE』(HiGH&LOW THE WORST主題歌)の曲振りで「行くぞ、てめぇら!」って叫んだら、ものすごい歓声が返ってきて圧倒されました。

――日本では「行くぞ、てめぇら!」は絶対に盛り上がる定番のセリフですけど、海外で言うのは緊張したのでは?

川村:ちょっとビビッちゃって、ライブ前に「この構成だと、お客さんが誰もハイローを知らなかったらシーンってなるよ。“行くぞ、てめぇら”やめとく?」って言ってました(笑)。でも、思い切ってやってよかった! これからも、音楽の力、エンタメの力を信じて、世界にTHE RAMPAGEの魅力を発信していきたいと思います。

――『HiGH&LOW』で描かれる日本独自の不良文化や、アニメーションで魅せる『BATTLE OF TOKYO』は、フランスの方にも響きそうですね。フランスでは日本のアニメの人気が高いそうですし、毎年パリでは日本のカルチャーを紹介するジャパンエキスポ(Japan Expo)を開催しているので、壱馬さんとは、そういう意味でも親和性が高そうだなと。

川村:(ハッとした表情で)そうですよね!? 僕、アニメ・漫画といったオタク文化と馴染みが深いですから(笑)。言われてみれば、初日に撮影させてもらった場所でも、日本の漫画の人気を感じたんですよ。一般の方のお宅を1日貸していただいて、その一室で撮影させてもらったんですけど……おそらく学生さんなのかな? 直接お会いしてはいないんですが、部屋に日本の漫画がいっぱい並んでたんです。フランス語に翻訳されたものが。それを見て「フランスの方も日本の漫画を読むんや?」って思ったのを、ふと思い出しました。写真集を撮影していた時はフランス=ファッションの街っていうイメージが強かったんですけど、フランスの方とはそっち方面でも仲良くなれそう(笑)。

――ファッションや音楽の仕事よりも先に、日本のオタク代表として世界進出する可能性が出てきましたね。

川村:あはははは! そうなったら最高ですね。

■良いパフォーマンスを届けることこそが誠意の形

――『Etoile』がスターを意味するフランス語ということで、壱馬さんが考える理想のスター像も教えてください。

川村:(しばらく考え込んだ後)時代や大衆に飲み込まれない存在、かな。

――というと?

川村:これまでも時代ごとにいろんな問題があったとは思うんですけど、今の時代も、価値観がアップデートされていく中で新たな問題がたくさん出てきているじゃないですか。せっかく良い時代になりつつあるのに、それをブチ壊すほどの過剰な言動をする人がいたり、その反動で自分の意志を貫く力を持っていない、打たれ弱い人が増えていると思うんです。昭和は昭和で憤ることはたくさんありますよ。でも、令和は令和で「やりすぎちゃう?」って思うことが多い。

――おお~……時代に切り込みましたね。

川村:誤解されないといいけど(苦笑)。上手くバランスを取っていけないものかと思います。そういった憤りを感じた時は、インタビューもそうですし、自作のラップでも自分の気持ちを素直に発信しています。

――それは、『Etoile』(スター)に相応しい人間になるために、壱馬さんが意識的にやっていることですか?

川村:そうです。時には周りに合わせて柔軟に対応する場面もありますけど、まずは自分を信じて、強い心を持って生きる。そして、自分がおかしいと思ったことには、勇気をもって切り込んでいく。そうすることで、強くありたいと願う人達のロールモデルになれたらいいなと思いますし、若い世代の考え方や生き方をより良い方向に変えていけたらいいなと。それこそが、僕が目指す“一番星”です。

――ちなみに、直近で憤りを感じているのは、どういう場面でしょうか。

川村:芸能界で自分らしく生きることの難しさは、常に感じています。こういうことを言うと、また反感を買うかもしれないけど、パブリックイメージと違うことをしたら怒られるとか、叩かれるといった世間の風潮が、僕には理解ができないんです。もちろん、仕事やファンをないがしろにして、中途半端に遊んでる人は淘汰されて然るべきでしょう。でも、ファンのことを大事にして、努力を惜しまずに良いパフォーマンスをしている、プロ意識の高い人でさえ、プライベートを暴かれて叩かれてしまう風潮には疑問を感じます。友達や恋人、家族といった“大切な人を大切にする”という当たり前のことが、アーティストやアイドルという立場にいるだけで他人から否定されるのは、なんでなんだろう?って。自分の人生を大事にしたら夢が掴めないという風潮は変だし、過剰なバッシングによって、そのアーティストの人生が暗いものになってはならないと思います。僕らはアーティストで、良いパフォーマンスを届けることこそが誠意の形だと考えているんです。THE RAMPAGEとRAVERS(THE RAMPAGEファン)が、お互いを思いやり、尊重し合える対等な仲間として、より関係を深めていくのが理想的だと、この機会にRAVERSのみんなに伝えたいです。

――では最後に、1st写真集『Etoile』を手に取った方へメッセージをお願いします。

川村:すでに『Etoile』を読んでくださった方も、これから手に取ろうと思ってくださっている方も、みなさん、ありがとうございます。今回は写真集ということで、僕が日頃から大事にしている“言葉”を伝える部分は少ないんですが、写真もあまり作り込みすぎていないですし、自分で読み直して、等身大の川村壱馬が詰まった1冊になっているなと思いました。前回のフォトエッセイ『SINCERE』から4年が経ち、少し成長した今の僕を感じてもらえると思いますので、この記事を読んで気になった方もぜひ(笑)。みなさんからの感想をお待ちしています。

(斉藤碧)

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