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全国博物館へのクリエイター派遣に賛否 地方学芸員「予算少なくほぼワンオペ、人手を増やしてくれたら」

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 「とにかく、学芸員の人材育成の体制ができていません。資料の適正な管理の仕方などを知らないまま、地方で学芸員をやっている人もいて、これではせっかく寄贈された美術品や資料を劣化させてしまうことになりかねない。国や文化庁は表面的な活性化を目指すのではなく、現場の人の声を聞いてほしいと切に願います」

■未来を見据えた人材育成が重要

 折しも、大阪府ではこれまでに収集した美術品を6年以上にわたって地下駐車場に放置していたことが発覚し、問題になった。評価額にして計約2億2千万円で、約105点にも上っていた。

 さらに、昨今、世界で人気の高い漫画の原画やアニメのセル画などの保存が議論されているが、日本の博物館や美術館にはそういったジャンルに精通した学芸員がほとんどいないといわれる。「まんだらけ」が所有する手塚治虫の『新寳島』の初版本を、大英博物館が購入したいと連絡してきたが、日本の博物館からの問い合わせはゼロなのだそうだ。

 一時的に外部から人材を派遣するのではなく、10年、20年先を見据え、その博物館でじっくりと活動できる人材を育成することのほうが、重要ではないだろうか。アニメ業界で立ち上がったNAFCA(日本アニメフィルム文化連盟)は、アニメーターの人材育成を重視して活動を展開している。人材育成はあらゆる業界で急務であるが、文化庁は博物館の振興を図るのであれば、学芸員の育成に予算を投入してほしいものである。

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(文=元城健)

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