「お祝いですか?」と聞かれたので「ええ、そうです」と答えておいたぞ。何も間違ったことは言っていないが、まさか相手がカレーだとは店員さんも思うまい。松屋をイメージして黄色多めだ。
電車と……
バスを乗り継ぎ……
しばらく歩くと……
あ、あの黄色い看板! そう……
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松屋創業1号店である。
・聖地
松屋の前身「中華飯店松屋」の誕生から2年後の1968年にオープン。みんなの食卓の歴史はここから始まった。つまりこの店舗がなかったら、「ごろチキ」も存在しなかったということだ。なぜだろう? 涙と鳥肌が止まらないのは。気付いたらこう呟いていた。
ありがとう──。
・感謝で震える
それでは「ごろチキ」降臨の儀を執り行いたい。松屋公式アプリから1週間限定で50円引きクーポンが配信されているため要チェックである。食券という名の神札を渡したら準備は完了。さあ、いよいよだぞ……!
か、神よ……!!
過去に何度となく顔を合わせているにもかかわらず、あまりに神々しいオーラに私は圧倒された。何者にも迎合しない孤高の佇まい、これぞ「ごろチキ神」……! この時をどれほど待ちわびたことか。やっと会えたね──。
妥協を許さぬ “ごろごろ” っぷりは健在で、カレーなのか肉料理なのか分からなくなるくらい大量のチキンが、その異質な存在感に拍車をかけている。量産される松屋の他の “ごろごろ” シリーズとは、やはり立っているステージが違うとしか言いようがない。
ああ、もう我慢できへん! 去年の夏以来の「ごろチキ」祭りだァァァァアアアア!! すると次の瞬間……
ほら、灰色だった世界に色が降ってきた。
・景色をも変える
トンネルを抜けるとそこは雪国ではなく「ごろチキ」。中毒性という言葉はこの皿のためにあるんじゃないか? “陽” のエネルギーに満ちた、スパイシーかつ独特の香りと味わいが体中を駆け巡ってゆく。これだよ……! この刺激を欲していたんだ……!! しかし、それだけではない。
なんだか今日の「ごろチキ」は、いつも以上に重厚感に溢れているような気がする。これまでの「ごろチキ」が激流荒れ狂う暴れ川だったとするなら、いま食べているのは流れこそ穏やかだが、巨大(デカ)すぎて対岸が見えないほどの超大河。
その広大な様は、この1号店が積み上げてきた長い歴史とも重なって見えた。数十年にわたる旅路の末、「ごろチキ」を生み出してくれた松屋にありがとう。江古田店にありがとう。そして、復活したすべての「ごろチキ」たちに……
おめでとう。
・世界の中心で “ごろごろ” を叫ぶ
こうして久々の「ごろチキ」を骨の髄まで堪能し尽くした私。だがしかし、「ごろチキ」とは刹那の輝きであることも忘れてはならない。いつ終売になっても後悔しないよう、今この瞬間を全力で “ごろごろ” するのだ!
それではお祝いも済んだことだし、私はまた90分くらいかけて帰りますが、家に着くまでが「ごろチキ」です。大事なことなので覚えておいてくださいね。ではまた。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 松屋 江古田店
住所 東京都練馬区栄町34-1
時間 9時~22時