〈コメント〉
エドワード・サイードの「不在」の⾵景のなかを、ゆったりと美しいカメラが、いつまでも追ってゆく。パレスチナ、イスラエルの苦しみのひだひだが照射される。⼈々の⾊濃い思い出を横切るサイード。そしてサイードの「希望」が私らの頭上に現われる。
(「エドワード・サイード OUT OF PLACE」について)
──⼤江健三郎(作家)
佐藤真の映画ではカメラが人物の前に回ることが多い。対立でもなく、対峙でもなく、被写体の前で立ちすくむカメラ。そんな印象を受ける。答えのない過酷な生を、人々の声が和らげる。佐藤真はインタビューすることを恐れない。インタビューの一つ一つが説明に堕することがないのは、人の声自体を「できごと」として捉える感性ゆえだろう。一度お会いしたかった。
──濱口竜介(映画監督)
生きていると佐藤真監督の映画のことを不意に思い出す。阿賀の景色、花子の笑顔、パレスチナの難民たち。それら映像の記憶の断片はノスタルジーから遠く現在と生々しく接続している。
──深田晃司(映画監督)
なぜそう撮ったのか。なぜそう繋いだのか。なにを撮らずにいたのか。なにを撮れなかったのか。あるショットから次のショットへ、そのすべての変化が、新たな発見として、新たな応答として、そして新たな問いとして迫ってくるように受け止めています。自分なりに考えてきたつもりでも、いままた見直すと、まだまだぜんぜん受け止められていないことに気づき、新たな問いばかり見つかります。レトロスペクティヴの開催を嬉しく思っています。
──三宅唱(映画監督)
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「まひるのほし」 ©1998 「まひるのほし」製作委員会 「花子」 ©2001 シグロ 「エドワード・サイード OUT OF PLACE」 ©2005 シグロ
〈暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE〉
配給:ALFAZBET、パラブラ
提供:パラブラ、シグロ、阿賀に生きる製作委員会、太秦、カサマフィルム、ユーロスペース
4Kレストア:ヨコシネDIA
公式サイト:https://alfazbetmovie.com/satomakoto