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武田鉄矢、ジャッキー映画の魅力を語る / ジャッキー・チェンは、私のアクションのお手本です!

キネマ旬報WEB

撮影:島田 香  ヘアメイク&スタイリスト:川岸みさこ

BS松竹東急(BS260ch)では『6か月連続 ジャッキー・チェン祭り!』のクライマックスとして、ジャッキー・チェンの吹替声優として知られる石丸博也氏による、吹き替えを新たに追加した〈吹替完全版〉全7作品が、4月から5月にかけて放送される。これを記念してジャッキー・チェンの大ファンという武田鉄矢氏に、ジャッキー映画の魅力を存分に語ってもらった。

チャーミングはジャッキー映画との遭遇 「成龍拳」© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

武田鉄矢氏がジャッキー・チェンの映画に魅せられたのは、70年代末。だがその前に、ブルース・リーの映画に衝撃を受けたと言う。

「ブルース・リーの『燃えよドラゴン』(73)が日本で公開されたのは73年の年末。私はまだ20代でしたが、渋谷の映画館で観てひっくり返りましたね。アクションの新時代が来たと予感しました。でもブルース・リーは孤高の人で、こういう俳優は二度と出てこないと思いましたし、自分には遠い存在だったんです。その後、私もだんだんと運が向いてきて、映画に出演したり、TVドラマ『3年B組金八先生』(79)がスタートしました。丁度その頃に、香港の新しいスターとして、ジャッキー・チェンの映画が日本でも公開されたんです」

日本で初めて紹介されたジャッキー・チェンの映画は「ドランクモンキー 酔拳」(78)で、公開は79年7月。続いて「スネーキーモンキー 蛇拳」(78)が12月に公開され、ジャッキーの人気に火が付いた。

「最初に『酔拳』を観たとき、『これだ』と思って飛びついたんです。何が面白かったかといえば、ジャッキーには悪いんですが、作品の安っぽさ。でも、その安っぽさがとってもチャーミングだったんです。例えば『酔拳』、ラストでジャッキーは暗黒街の殺し屋と戦うんですが、酔拳ですから酒を飲むほど強くなる。酒の入ったヒョウタンを飲んでは一度ジャッキーはそれを捨てるんですよ。このとき明らかにヒョウタンは倒れているんです。それでもう一度ヒョウタンを取りに行くと、なぜか取りやすい位置に立って置いてある。もしかしたら、スクリプターが雇えなかったんですかね。カットごとの整合性も無視して、製作費がないから、トコトン身体を使うしかないという決意がそこに見て取れる。そんなジャッキーのアクションを観たとき、『俺もこんなこと、やりてえな』って思いましたよ」

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ジャッキーはハンガーアクションを知っていた!

 

「カンニング・モンキー/天中拳」© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

その想いを彼は、映画『刑事物語』シリーズ(82~87)で叶える。このシリーズで彼が演じた片山刑事は蟷螂拳の遣い手で、ハンガーをヌンチャクのように振り回す独自のハンガーアクションを披露した。

「明らかにお手本はジャッキー・チェンでした。かつて九州で開催されたアジア映画祭で、ジャッキーさんを遠めに一度、見かけたことがあるんです。そうしたらジャッキーの方から、『タケダさん』と声をかけていただいた。しかもハンガーを振り回すようなしぐさを見せたんです。おそらく彼のスタッフが日本のコメディアンが真似をしていると、『刑事物語』を見せていたんでしょうね。あの時は凄く、嬉しかったですよ」

ジャッキー・チェン作品の中でも初期のコミカルなカンフー映画をこよなく愛する武田鉄矢だが、最高傑作はやはり最初に観た「ドランクモンキー酔拳」だとか。

「この映画には日本人が理想とする師弟関係が描かれているんです。ジャッキー演じる拳法道場のドラ息子は、酔拳の達人だと思って袁小田扮する老人に弟子入りするんですが、つきあっていくうちにこの老人はただのアル中ではないかと思い始める。もしかしたら師と慕うこの人は、人間のクズかもしれないと。でも、それこそが教育の奥義なんです。一見クズに見える人を、それでも師と呼んだ時に、極意を得ることができるんですよ。人が一生師として仰げる人の見つけ方と、理想の師弟関係が描かれているところに、この映画の素晴らしさがあると思いますね」

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