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オーストラリアから誕生! ファンタジー・ムービーのニューカマー、「シークレット・キングダム ピーターの奇妙な冒険」の隠された魅力

キネマ旬報WEB

新たな魔法に満ちた冒険の旅が始まる。「ハリー・ポッター」「ナルニア国物語」に続けとオーストラリアから誕生した斬新なキャラクター満載のファンタジー・ムービー「シークレット・キングダム ピーターの奇妙な冒険」が3月20日からレンタル開始。キッズムービーとして子供たちに独占させておくにはもったいない、大人も楽しめるファンタジー映画の快作だ。

舞台は地底帝国。少年と妹が大冒険!

本作の舞台になる“秘密の王国”、それは恐怖の力によって封印された地下の世界だ。そこに押し込められているのは絶滅危惧動物センザンコウの姿をした種族。彼らの神話ではある時、予言された王が現れて、闇の世界と光の世界を統一させ、彼らを解放するという。そんな地下世界に、臆病な少年ピーター(サム・エヴァリンガム)は数奇な運命に導かれて迷い込み、妹や仲間と共に冒険の旅を始める。

郊外の古い屋敷に両親と共に引っ越してきた12歳のピーターと9歳の妹のヴェリティ(アリラ・ブラウン)。好奇心旺盛な妹の導きで、奇妙な骨董品店に迷い込んだピーターは、見たことのない文字が刻まれた金属製パズルの一片を手にする。するとその夜、ビーターの部屋の床が崩れ、突如地底の世界が現れる。彼は妹と共に暗く不気味な世界へ落ちていくと、そこは全身ウロコのセンザンコウ一族が暮らす王国。怪物シュラウドの魔力によって世界は地上界と地下界に分断され、王国は時間も停止したという。

予言に描かれた伝説の王として歓迎されたピーターとヴェリティは、停止した世界の大時計を再び動かすため、地底王国の住人たちを連れて隠されたパズルの残りの5つのピースを探す旅に出る。

旅の仲間となるのは予言の歌を知るセンザンコウ族のプリング、巨大な龍のメンダックス、双頭の亀など。予言書には最初は何も書かれていないが、発見したパズルのピースを置くと、不思議ななぞなぞが現れパズルのありかを暗示する。次々と立ちふさがる試練、不思議な建物のスリル、新しい仲間との出会い。ジェットコースターのような展開の中、ピーターは妹や仲間と共に残りのパズルを手にする。ところが最後のピースを発見する直前、シュラウドの魔術で妹が石像にされてしまう。哀しみを克服し、ピーターは最後のピースを手にすることができるのか。そして秘密の地底王国を救うことができるのか──。

視覚効果まで手掛ける新鋭監督のマルチな才能 

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本作はオーストラリア映画であり、メジャースタジオの潤沢な資金を投入された大作でもない。しかし制作者の情熱とアイデアが詰まった快作であり、映像の肝であるCGIのレベルが驚くほど高い。

センザンコウ族の表情、鼻の頭の湿った感じ、口の周りの産毛のモフモフ感などは大型高画質テレビで見ても充分にリアルだ。恐竜メンダックスも近年の考古生物学の成果を取り入れて、ふさふさの羽毛が全身に生え、とても柔らかそうな質感が描かれている。

ピーターの前に立ちふさがる敵、歯車仕掛けのロボット兵士や、鉄と鎖で構成された手袋の戦士たちも緻密なCGIによって、まるで生き物のように動いている。そのCGキャラたちの独特のキモカワ感覚は、ハリウッド・メジャー映画にはないオーストラリア映画の個性として本作を際立たせている。

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