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「新宿駅」はなぜ巨大迷路駅になったのか

日刊ホントの話

●複雑怪奇な都会のダンジョン 新宿駅といえば、日本に住んでいる人ならだれもが知っている巨大ターミナル駅ですよね。

1日の乗降者数が350万人を越えるとされており、世界で最も混雑する駅というギネス記録を認定されています。乗り入れているのはJR東日本の山手線・埼京線・総武線・中央線快速・中央本線・湘南新宿ライン、都営地下鉄の新宿線・大江戸線、東京メトロの丸ノ内線、京王線の京王本線・京王新線、そして小田急線の5社12路線。これに加えて西武新宿線の新宿駅、都営地下鉄大江戸線の新宿西口駅、東京メトロ丸ノ内線の新宿三丁目駅も徒歩で乗り換え可能になっています。これだけ乗り入れ路線と近接駅があれば、混雑するのは当然でしょう。

 さらに出口の数がとても多く、入り組んだ直結駅ビルや枝分かれした地下通路をいくつも通らないと乗り換えできないため、目的の出口や乗り場にいつまでもたどり着けず、途方に暮れてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。駅構内の構造があまりにもわかりづらいため、ゲームに登場するダンジョン(迷宮)のようだといわれることも少なくありません。なぜ新宿駅はこんなにも複雑怪奇な駅になってしまったのでしょうか。

●なぜ新宿駅は迷宮化し続けるのか

 現在はダンジョンといわれる新宿駅ですが、はじめからいくつもの路線が通っていたわけではありません。むしろ最初は、中継ぎ役としてつくられた小さな駅にすぎなかったのです。

 新宿駅の開業は、1885(明治18)年のこと。当時の日本は、海外諸国と対等に貿易できる国産品として、群馬県の富岡製糸場でつくられる生糸の輸出に力を入れていました。この生糸を貿易の窓口である横浜の港まで素早く輸送するために新設されたのが、赤羽~横浜間を結ぶ日本鉄道品川線(現在の埼京線~山手線の一部)です。新宿駅はこの路線の中継地点として置かれましたが、開業当初は周囲に小さな宿屋や茶店があるくらいで、1日の乗降者数は50人ほどだったといわれます。

 しかし、1889(明治22)年に新宿~立川間を結ぶ甲武鉄道(現在の中央線)が開通すると、ふたつの路線の接続駅となり、ターミナル駅としての役割を持つようになります。ここに京王電気軌道(現在の京王線)と小田原急行鉄道(現在の小田急線)も加わり、新宿駅はさらに大きくなっていきました。ただし、この時点ではまだ迷ってしまうという意見はあまりなかったようです。

 新宿駅の複雑化が本格的になるのは、1959(昭和34)年に営団地下鉄(現在の東京メトロ)が乗り入れてからといわれます。このとき、新宿三丁目駅まで続く地下通路もつくられました。これによって地下階ができた新宿駅は立体化し、複雑さがぐっと増したのです。さらに京王線と小田急線も地下ホームを設置し、京王百貨店、小田急百貨店、その連絡通路となる西口駅前立体広場も建設されて、どんどんわかりづらくなっていきました。昭和後期になるとルミネやミロードなどの駅ビルも建設され、2016(平成28)年には新宿駅周辺に点在していた高速バス乗り場を集約したバスタ新宿と駅ビルのニュウマンが完成し、南口側も大きく変化しました。

 このように“後付け”で乗り入れ路線が増え、立体方向にも駅が広がったため、新宿駅は複雑化したのです。

●巨大迷宮・新宿駅の攻略法とは

 ここまで入り組んでしまうと新宿駅の攻略はもはや不可能のようにも感じられますが、現在は新宿駅周辺の再整備計画「新宿グランドターミナル」構想が進められており、少しずつ〝わかりやすい〟駅への転換が進められています。その一環で2020(令和2)年に開通した東西自由通路は、新宿駅攻略のカギとしてぜひ押さえておきたいポイント。ここを通れば迷わず簡単に東口と西口を行き来できます。

 また、JRの改札口とフロアをセットで覚えるのも効率的です。新宿駅は地下1階、1階、2階というフロア構成になっており、JRの改札口は地下1階に4個、2階に5個あります。それぞれの名前は以下のとおり。

・地下1階:東口、西口、中央東口、中央西口
・2階:南口、東南口、新南改札、甲州街道改札、ミライナタワー改札

 お気づきかもしれませんが、新宿駅には北口がありません。実は、北を向いている東寄りの改札が東口で、北を向いている西寄りの改札が西口なのです。東口と西口はどちらも東西自由通路に通じています。わざわざ〝中央〟とついているのでどういう意味かと不安になってしまう中央東口と中央西口は、本当に東を向いている改札と本当に西を向いている改札です。中央西口は京王線と小田急線の乗り換え口に通じています。一方、2階の改札口はすべて南側の出口に通じています。このため、JRのホームから階段を降りると東西の改札口、階段を登ると南の改札口に出ると覚えておけば大丈夫です。

 東西自由通路が完成した同年には、小田急百貨店が本館での営業を終了して移転し、跡地には新たな高層ビルが2029年に開業する予定です。この再開発のため、ミロードも営業を終了しています。まだまだ変化を続ける新宿駅。これからはわかりやすい駅になっていくといいですよね。

<参考サイト>
・東洋経済 巨大ターミナル「新宿」を迷路駅にした数奇な歴史
https://toyokeizai.net/articles/-/478202
・プレジデントオンライン 工事を繰り返すほど不便に…世界一混雑する新宿駅の”ダンジョン化”が解消されない地理的理由
https://president.jp/articles/-/50227?page=1
・ietty 【完全保存版】新宿駅の構内図を攻略!新宿駅で迷わず目的地にたどり着く方法
https://ietty.me/magazine/shinjuku-station-master/

 
   

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