シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Aさん(神奈川・30代男性)
ある夜、自宅から遠く離れた駅で降ろされたAさん。
帰るに帰れず途方に暮れていると、中年のサラリーマン男性に声をかけられて……。
<Aさんの体験談>
10年ほど前、帰宅のために乗っていた電車が人身事故の影響で緊急停止しました。
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幸いにも、わたしが乗っていた電車は近くの駅で止まることになって外に出られましたが、そこは無人駅。単線の電車で振り替え輸送などもなく、あたりは真っ暗でした。
「にいちゃん、帰れないのか?」
自宅まではかなりの距離があり、歩くことも、迎えを呼ぶことも出来ません。
タクシーを捕まえようにも走っておらず、降りた駅で途方に暮れてしまいました。
すると、50代くらいのサラリーマンの方に突然、声をかけられたのです。
「にいちゃん、帰れないのか? おれも電車止まったから帰れないんだが、家族を呼ぶだから車のってくか?」
私は「見ず知らずの方にそんなお願いするなんて、申し訳なくてできません」とお断りしたのですが、その方に
「バカやろう。こんな寒い日にいつ動くか分からねー電車待つより乗っとけ!」
と言われ、勢いに押された私はお言葉に甘えることにしました。