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「VIVANT」にも通じる堺雅人の豹変…内なる憤怒を表現した「クライマーズ・ハイ」の名場面

HOMINIS

物語も佳境に入り回を重ねるごとに注目度を増しているTBS日曜劇場「VIVANT」。豪華俳優たちの競演やモンゴルでのロケ撮影という規格外のスケール、鮮やかな伏線回収やどんでん返しが連発の緻密に練られたストーリーなど、見応え抜群のドラマとして今クール屈指の人気を誇っている。

阿部寛、役所広司、松坂桃李、二宮和也…錚々たる顔ぶれの中でも、主人公のエリート商社マン・乃木を演じ、別人格”F”との豹変ぶりで圧倒的な存在感を放っているのが堺雅人だ。

そんな幅の広い演技が改めて評価されている今、ぜひ見返してほしい作品が映画・チャンネルNECOにて9月4日(月)に放送される映画「クライマーズ・ハイ」(2008年)。横山秀夫が自身の経験を基に書いた小説を原作とする本作は、死者520人を出した1985年の日本航空123便墜落事故の真実を追う、新聞記者たちによる激動の1週間を描く社会派ドラマだ。

堤真一、堺雅人が演じた記者魂に胸が熱くなる「クライマーズ・ハイ」

(C)2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

「クライマーズ・ハイ」

(C)2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

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群馬県の地方紙・北関東新聞社に、羽田空港を離陸した日本航空123便が群馬県の山中に墜落したとの一報が入る。全権を担うデスクとして任命された記者の悠木(堤真一)は、若手記者たちと共に大惨事の真実を伝えようと奔走するが、日本中が注目する未曽有の事件を扱うことへの重みや、保守的な社の体制といった様々なプレッシャーがその肩に圧し掛かる。

「クライマーズ・ハイ」

(C)2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

悠木は、組織とは一歩引いた関わり方をした自由気ままな遊軍記者だが、いざ事件を担当すると熱くなっていく実直な気質。時には周囲とぶつかり合いながらも、最善の記事を世に送り出すべく抜群のリーダーシップを発揮する。そして、そんな悠木のことを慕っているのが堺演じる社会部の記者・佐山だ。

この佐山も、悠木同様、どこか掴みどころのない雰囲気を放っているが、誰よりも早く現場に出向こうとするなど、仕事に対しては真っ直ぐな熱血漢。一見穏やかでスマートな自身のイメージを裏切る役柄も堺は見事にものにしており、未曾有の大惨事が目の前に広がる山中の墜落現場を駆けずり回る泥臭い姿は新鮮だ。

「クライマーズ・ハイ」

(C)2008「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

中でも秀逸なのが、”現場に直面した人間でなければ書けない生原稿”が社内の判断で見送られた際、悠木に詰め寄る佐山との対峙シーン。内なる憤怒を表現した、冷たく鋭い視線と口調は鬼気迫るものがある。悠木の無茶振りとも言える要望に対し、怒号を浴びせ、半ばやけになったかと思えば、筆を走らせ冷静になったり…。凄まじい集中力から繰り出されるテンションの高い演技からは、「VIVANT」をはじめとする、後の堺の代表作とも相通じるものが感じられるだろう。

「クライマーズ・ハイ」
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