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松坂桃李、『VIVANT』で担う“1.5列目”の主役 視聴者と同じ温度で煌めく存在感

Real Sound

『VIVANT』©TBS

「『VIVANT』観た?」

参考:『VIVANT』ラスト5分の衝撃 ついに“乃木”堺雅人が“ノコル”二宮和也と接触

 毎週月曜日、おそらく日本中で話されているであろう、この会話。『VIVANT』とは、いわずもがな、堺雅人主演の日曜劇場のことだ。本作で、ひと際目を引くのが、主演クラスの豪華キャストが勢揃いしていることである(以下、ネタバレあり)。

 中でも、話題を集めたのは、黒須駿を演じる松坂桃李の登場だ。松坂出演のアナウンスは事前にあったものの、しばらくは出る気配すらなかった。そんなこともあってか、松坂本人やノコル役の二宮和也が自らSNS上でイジることも……。第4話で黒須が姿を現した際には、視聴者も大盛り上がりとなった。

 黒須の初登場は、乃木憂助(堺雅人)の同僚であり、テントのモニターだった山本巧(迫田孝也)を拘束したシーン。乃木が別班だったと判明した衝撃の場面でもある。

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 黒須は、JKT資源開発勤務で、エンジニアだということは分かっているが、詳しいバックボーンは闇に包まれている。彼がどんな性格で、どんな人生を歩んできたのか、ほとんど分からないのが現状だ。ただ、“命に従う”という大義名分があるものの、山本を殺害したとき冷酷に見えた彼が、ブルーウォーカーの太田梨歩(飯沼愛)とのやりとりでは、人間味ある姿も見せている。極め付けは、乃木の裏切りがあったシーンだ。牢屋に閉じ込められた黒須は、乃木に向かって「ふざけんな。てめえこの野郎!」と感情をあらわにした。

 私はそれまで、別班は超人の集まりで、どんなときも冷静沈着に任務を遂行する集団だと思っていた。ただ、想定外のことが起きると感情はコントロールできないもの。ましてや裏切りともなるとなおさらだ。彼らも我々と同じ人間なのだ、と改めて感じたシーンだった。

 今回の作戦には、乃木と黒須を含む、別班の精鋭部隊6名が関わっていた。乃木が裏切った際、他4名はその場に残されたものの、乃木と黒須はテントに連行されるかたちに……。9月3日に放送される第8話では、乃木の思惑や葛藤なども黒須目線で垣間見ることができるだろう。

 松坂は本作のインタビューでこんなことを語っている。『VIVANT』が制作されるのを知った際に「『どんな役でもいいから出演できないですか?』とマネージャーさんを通して直談判させていただきました」(※)。

 直談判とはいえ、本作での松坂の立ち位置を見ると、主役にもっとも近い役を担っているように思う。阿部寛や二階堂ふみともまた違う独特のポジションだ。堺たちがサッカーでいうストライカー(1列目)だとすれば、松坂はシャドーストライカー(1.5列目)。物語が展開するようにパスをしたり、視聴者に衝撃を与えるシュートを打ったり、はたまたボールを保持して、他のキャストが自由に活躍できる場面を作っている。映画やドラマで主演を数多く務めるだけでなく、バイプレイヤーとしても光る彼だからこそ、この役が担えるのだろう。

 我々が、彼の演技に違和感を覚えず、作品を楽しめるのは、松坂が視聴者の“感情の温度”に合わせた演技をしている点にあると思う。これまでの出演作だってそうだ。例えば、映画『不能犯』(2018年)でゾッとさせられたかと思えば、ドラマ『あのときキスしておけば』(2021年/テレビ朝日系)ではキュンキュンしたし、映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)では、心が震えて涙が止まらなかった。

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