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『VIVANT』ラスト5分の衝撃 ついに“乃木”堺雅人が“ノコル”二宮和也と接触

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日曜劇場『VIVANT』©︎TBS

 困ったことになった。『VIVANT』(TBS系)第7話についてである。正確に言うとドラマそのものではなく、ドラマの外側の話なのだが、記事で書けることがないという悩みだ。

参考:『VIVANT』“別班”に注目 市川笑三郎、平山祐介、西山潤、珠城りょうが新たなメンバーに

 一応、このコラムは放送後のレビューという体裁を取っており、本編の内容だったり、見どころや作品のテーマをその都度掘り下げてきた。第7話に関しては番組側が「最大の衝撃」を予告しており、ラスト5分に向かって全てが集約される進行だったため、終盤の出来事に言及しないことには話がまとまらない。ただし、第7話は公式アカウントが事前に考察あるいは予想している人がいないと言うほど衝撃度の高い展開であり、知ってしまうことで視聴意欲が削がれる可能性は高い。「最大の衝撃」に触れるべきか、触れないべきか。それが問題である。

 冒頭からくどくどと述べたのは、以上の事情があったためである(決して文字数稼ぎではない)。妥協策として、物語の核心に触れない限度で、各話の最大の見どころ以外と、公式が事前に公表しているトピックは、本編の視聴意欲を損なわず、ドラマへの関心を高める点でも有効と考える。そこで上記の方針に従って記述することにする。

 第7話タイトルは「宿命の兄弟の対峙!!そして…」。兄弟っぽいのは乃木(堺雅人)とノゴーン・ベキ(役所広司)の側近である謎の男(二宮和也)、あるいはドラム(富栄ドラム)とチンギス(Barslkhagva Batbold)である。雰囲気重視の後者は除外するとして、乃木と後にノコルとわかる男はすでに兄弟であると判明していた。両者はなぜ対峙することになったのか。前話ラストで、乃木と黒須(松坂桃李)を含む別班の6名が招集されて話題になったが、6人に司令の櫻井(キムラ緑子)から言い渡されたのは、日本をターゲットにするテロ組織・テントの犯行を未然に阻止すること。ベキの息子であり、テントの内情を知る乃木がリーダーに指名された。

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 別班が動けば公安も動く。乃木の行くところ、そこには野崎(阿部寛)の姿があり、ここでも野崎が一枚噛んでくる。公安が乃木を、別班ではないがテントの情報を知る重要人物として調査を続行する中、バルカ行きの飛行機に乗り合わせた野崎は、言外に乃木と別班の関わりをほのめかした。乃木が別班であることが明かされてから、やや影が薄かった野崎が久々に濃厚な絡みを見せたが、気になるのはその内容だ。

 野崎は乃木と薫(二階堂ふみ)の関係が進展していることを把握済みのようで、乃木に恋愛指南をしたりする。野崎が語ったかつての後輩エージェントとの逸話は、男同士の友情を超えた特別なものだ。一方の乃木も野崎を「鶏群の一鶴」「眼光紙背に徹す」と言い、公安という組織で真実を見抜く人間であると評価しており、2人の間に立場を超えた絆があることを示唆していた。ちなみに野崎がジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)へのお見舞いに持ってきた『ハリー・ポッター』のDVDと、乃木が商談に行くと言ったスネイプ社の名称から、二重スパイの含意を読み解く指摘もあった。

 諜報や破壊工作メインの本作において恋愛描写はわずかだが、その例外が第7話である。薫を自宅に誘い、食事を共にした2人は朝を迎える。乃木と薫に野崎を加えた3人は疑似恋愛の三角関係のようで、サスペンスとスリルの真ん中にある人間ドラマが垣間見えた。

 これまでにザイール(Erkhembayar Ganbold)、アリ(山中崇)など末端の幹部とのやり取りはあったが、第7話では、テントの本体と言えるベキの側近ノコルに接触することに成功した。そこに至る別班と公安の化かし合いや、秘密裏にミッションを遂行する別班チームの雄姿はぜひ本編で確認してほしい。

 何度か出てきたベキこと若き日の乃木卓(林遣都)と妻の明美(高梨臨)が助けを求める中、ヘリコプターが飛び去る幼少期の乃木の回想シーンは、ベキが日本を恨むきっかけになった事件と思われ、ベキの動機を知ることは乃木の任務遂行の上で有益である。それでも、目的のために自分を殺せる乃木があえて私情に走った理由は想像する以外ない。生きていた(vivant)兄と弟の対面に続いて、父子の対峙が実現する中でその感情は奔出するだろうか。

(文=石河コウヘイ)

 
   

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