ヤシガニは基本的に雑食で植物も動物も両方食べることも知られています。
特にアダンと呼ばれる植物の生息地の近くに多く生息しています。アダンとは、パイナップルに似たような果実をつける植物で、沖縄などで見ることができます。また、アダンは足が多く密接して生えるのでヤシガニも安心して隠れることができます。沖縄では防風林としても活用されています。
果物や野菜以外にも、腐敗したものなどや人間が捨てた生ゴミなども食べてしまいます。
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ヤシガニは食べられるの?
ヤシガニを食べて中毒死した例もあり、嘔吐や吐き気、手の痺れといった食中毒の症状が出ることも少なくありません。自分で獲ったヤシガニを料理するといったことは絶対にしないようにしましょう。
ヤシガニは捕獲されることが多いため、現在ではその個体数が少なくなっており、地域によっては絶滅危惧種として、捕獲を禁じているところもあります
ひとつだけ、食べてはいけないと言われる部位があります。それは、腹部に収められている消化管。たっぷりと詰まったミソの中に埋もれるように存在しているのですが、これを食べるとときにひどい中毒を起こしてしまうことがあるそうです。
ヤドカリの仲間なのになぜ貝殻がないの?
ヤシガニの幼生は、プランクトンとして海中を漂い、1~2ヵ月して成長すると、陸へ上がってきます。ヤシガニは、オカヤドカリ科に属するが、成体はふつうのヤドカリとは違って貝殻を背負いません。
かつてヤシガニの祖先は貝殻を背負って海で過ごしていましたが、陸上に上がる際に貝殻の重さが邪魔になり脱ぎ捨てました。それ故に身軽になり木に登れるようになり餌の幅が広がりました。しかし敵から身を守る手段を失い、貝殻で身を守る代わりに、体自体を硬くさせたのです。
ヤシガニの繁殖方法とは?
繁殖に時期になると、普段は単独で暮らしているヤシガニも触覚を動かし匂いで相手を探し、オスもメスも歩き回ります。
メスが繁殖をすることができる相手は1シーズンに1匹のみのため強くて大きなオスを好みます。そのためヤシガニのカップル成立の条件は非常に特殊で、オスがメスの体をでひっくり返すことができるかどうかで決まります。そのためにオスのほうがメスより力が強くないといけない。もしメスより力がないと抵抗するメスにハサミで大けがをさせられてしまうことがあるようです。
そして、陸上生活をしているヤシガニですが、繁殖の際ははかならず海にもどります。
小さい頃(*ゾエア)は海水の周りに生息しており、成長すると陸上へ生息場を変化させていきます。卵から生まれたヤシガニの子どもは、はじめは母親によって海へ放たれます。
*ゾエア (zoea) は、十脚目(エビ・カニなど)の幼生の段階に与えられた名前で、 胸部の付属肢で遊泳し、プランクトン生活をします。 同時期の幼生の名は群によって異なる場合もあるが、まとめてゾエアとすることも考えられています。
ヤシガニは飼うことができるの?
十分に成長していない個体はペットとして飼うことも出来るようですが、狭いところに潜るのも得意な上に、ハサミの力がとても強力なため、飼うためのケースなどを壊して逃げ出さないようにする必要があります。餌は基本的にはなんでも食べるので、バランスの良い食事を与えることが大切ですが、それがとても難しいようです。また温度管理も大切で、適度な湿度と風通しがないと脱皮できずに命を落としやすいそうです。
https://crab-lab.biz/archives/367
どっちがどっち まぎらわしい生きものたち
著者[“梁井貴史”, “金子貴富”] 出版日
「ムササビとモモンガ」「セイウチとトド」「タラバガニとズワイガニ」「ワシとタカ」「ジュゴンとマナティー」「バッタとイナゴ」など、生きものたちの‟ちがい”について、イラスト付きでわかりやすく解説されています。ちがいを知るだけで今までよりもっと生き物の生態に興味を持つことができるはずです。また名前に関する雑学も載っているので、こちらも本書を楽しめるポイントになっています。
エビとカニの博物誌―世界の切手になった甲殻類
著者大森 信 出版日
切り口が面白い一冊です。日本や世界で切手になった253種の甲殻類を、半世紀以上にわたって海洋生物研究を続け、何種もの甲殻類の命名者になっている著者が解説します。世界各地で起こる環境悪化や生態系の撹乱、漁獲量の減少についてデータを用いて言及し、身近なエビ・カニを入口に環境や漁業、海洋資源の持続可能な利用を考えるきっかけとしての役割も果たします。
今回はヤシガニについて紹介させていただきました。現在日本ではその数を減らしていると言われているヤシガニ。一度減った生き物は数を戻すのにものすごく時間がかかります。そのためにも一人一人が、しっかりと生態を理解して自然保護の意識を高めていかなければなりませんね。