IT企業が自動車会社になる日。「Xiaomi SU7」の侮れない実力とは?

■Xiaomiが同社初のBEV、「SU7」と「SU7 Max」を公開


XiaomiSU7のエクステリア

世界有数のスマートフォンメーカーとして知られる「Xiaomi(シャオミ)」が先頃発表した、同社初のBEV「Xiaomi SU7」が世界の多方面から注目を集めています。

“フルサイズ・ハイパフォーマンス・エコ・テクノロジーセダン”と位置付けられたモデルで、車名の「SU」は、“Speed Ultra”を意味しています。

同車の開発には、元BMWのチーフデザイナーやBMW「iX」シリーズ、メルセデス・ベンツの次世代BEV「Vision EQXX」などで実績を持つ人材が多く携わっています。


XiaomiSU7(画像上)とポルシェ・タイカン比較

車両サイズは全長4,997×全幅1,963×全高1,440mmで、ホイールベースが3,000mm。車重は1,980~2,205kg。

フロント周りのデザインが初代86を彷彿させ、サイドビューはフロントフェンダー後部のエア抜き構造も含めポルシェ・タイカンに酷似するなど、滑らかな曲面で構成された美しいボディデザインは、欧州車にみられる造形を色濃く感じさせます。


XiaomiSU7の駆動用モーター種類

パワートレーンには、テスラやポルシェのBEVを凌ぐ加速を実現する“Super Electric Motor”を搭載しており、AWD仕様のハイエンドモデル「SU7 Max」は最高出力673ps/85.4kgmを発生。0-100km/h加速は2.78秒と俊足で、最高速度は265km/hに達します。


XiaomiSU7の駆動用バッテリー

BYDとCATLが供給するバッテリー容量は101kWhで、航続距離は800km。急速充電ステーションに接続することで、5分で約220km、10分程度で約390kmの航続距離を実現。

また、FR仕様のベースモデル「SU7」は299ps/40.8kgmの最高出力を発生し、0-100km/h加速は5.28秒で、最高速度は210km/h。バッテリー容量は73.6kWhで、航続距離は668kmとなっています。


ダイキャスト製一体式リヤアンダーボディ

ボディ構造では、ダイキャスト製一体式リヤアンダーボディを逸早く採用しており、72部品を一つに統合することで溶接部位を840ヵ所削減。車両全体の重量を17%軽量化し、生産時間を45%短縮することに成功しています。


XiaomiSU7の自動運転用LiDAR

自動運転テクノロジーを提供するDeepmotion Tech社を約85億円で買収しており、「SU7 Max」にLiDARを1基、11台の高解像度カメラ、3台のミリ波レーダー、12台の超音波レーダーを搭載するなど、業界トップクラスの性能を誇る自動運転システムを構築。

そんな「Xiaomi SU7」の車両価格は今後数ヵ月以内に発表されるようです。

●世界で5本の指に入る自動車メーカーになると公表


XiaomiSU7のシンプルなインテリア

XiaomiはBEV事業に約1700億円を投入。5か月の準備期間を経て2021年9月にBEV事業を正式に立ち上げるまでの間、膨大な市場調査を行った模様。


Xiaomi製のスマートフォン

BEVプロジェクトの人材募集時には、2万人以上の応募があったそうで、現在の研究開発チームは3,400人を超えるエンジニアと、国内外の1,000人を超える技術専門家で構成されています。

2010年に中国で設立されたXiaomiグループの創設者Lei Jun CEOは、「Xiaomiの自動車業界への参入はスマートフォン業界からの大きな飛躍であり、重要な一歩」としており、将来的に世界トップ5の自動車メーカーの1つになることを目指しているそうです。

一方、日本でもSONYがホンダとの共同開発により、2025年にBEV「AFEELA(アフィーラ)」の発売を予定しています。


XiaomiSU7のリヤビュー

このように、近年では自動車メーカーがこれまで長い期間をかけて培ってきた“エンジン関連技術”がBEV化で必要無くなり、IT企業が先進的なアイデアを加えることで、短期間に魅力的な車が誕生する時代になりつつあります。

自動車メーカーとしては、豊田章男会長が危惧しているとおり、カーボンニュートラルの時代においても貴重なエンジン関連技術を絶やすことなく、“軒を貸して母屋を取られないよう”、一歩先んじた先進的な商品開発が求められそうです。

(Avanti Yasunori)