「ARTFX J 幽☆遊☆白書 飛影 1/8スケール PVC製 塗装済み完成品 フィギュア」(壽屋)

【画像】ポスターの段階だとファンが「え?」 実際の戦闘シーンを見たら「似てる?」気がする実写『幽白』の飛影を見る(3枚)

「仲間になる予定じゃなかった」←飛影の黒歴史も納得?

 マンガの人気キャラクターには、意外な歴史があることも少なくありません。たとえば『うる星やつら』のラムちゃんは、もともと第1話にだけ登場するゲストキャラの予定でしたが、作者の高橋留美子先生が第3話の構成に行き詰まり、再登場させたというのは有名な話です。

 このようにマンガでは、「メインキャラにするつもりはなかった」「主人公の仲間になる予定じゃなかった」という登場人物が意外と多く存在します。そしてそれは、熱狂を生み、グッズも多数売れた「週刊少年ジャンプ」の人気キャラクターも例外ではありません。

 井上雄彦先生の『SLAM DUNK』の三井寿も、当初はメインキャラになる予定のなかった人物でした。三井といえば「安西先生……!!」「バスケがしたいです……」の名ゼリフで知られる、一度不良になっていた湘北高校バスケ部のシューティングガードであり、その熱くて人間臭い姿から、作中でも屈指の人気を誇るキャラクターです。劇場版の公開によりスラダン旋風が巻き起こった韓国でも、もはやアイドル並みの人気を誇っていると話題になりました。

 今でこそ三井は『SLAM DUNK』になくてはならない存在ですが、2008年に出版された書籍『漫画がはじまる』で作者の井上先生が語ったところによると、もともとは単なるバスケ部を襲う不良として描き、バスケをやらせるつもりはなかったそうです。しかしケンカを描いているうちに「三井」というキャラに愛着が湧き、このまま不良キャラで終わらせたくないという思いが生まれたことから、急きょ天才選手としての過去を考え、路線変更に至りました。

 つまりもし井上先生が三井のことを好きになっていなかったら、「バスケがしたいです……」の名言も生まれていなかったかもしれないのです。

 また、冨樫義博先生の人気マンガ『幽☆遊☆白書』にも、主人公の仲間になる予定ではなかった人物が存在しました。それが、かつて人気投票で不動の1位を記録した飛影です。

 そもそも今の飛影はクールキャラで知られていますが、初登場時はいかにも言動が小物っぽく、印象も最悪でした。主人公である浦飯幽助の幼なじみを誘拐し、人質にするという外道な手段に頼るばかりか、「オレがなにもしないで女を返すと思ったのか!? ボケがァ」「はははぁ たしかに体は返したぞ」とはしゃぎながら卑劣な策に出るなど、物の見事に「弱い犬ほどよく吠える」を体現しています。

 しまいには全身に目が生えた第二形態の姿も披露していましたが、初期の飛影がこんなにも小物っぽいのは、やはりもともと仲間にするつもりがなかったからなのです。この事実は「ジャンプGIGA」に掲載された岸本斉史先生とのスペシャル対談で、冨樫先生自身の口から語られており、当時の担当者に飛影の仲間入りを提案されて現在に至ったといいます。

 ちなみに全身目玉だらけの飛影について、冨樫先生は「初めっから飛影を仲間にするつもりで考えてたらあんなたくさん目玉つけてないですよ。どう見てもあれって地雷じゃないですか?」とまで語っていました。

 大人気マンガ『ドラゴンボール』で主人公の孫悟空と人気を二分するベジータもまた、仲間になる予定ではなかったキャラクターのひとりです。

 その事実が作者の鳥山明先生の口からはっきりと公言されたのは、同作のファンブック『30th Anniversary ドラゴンボール超史集 -SUPER HISTORY BOOK-』のおまけマンガでした。そこで、おなじみのガスマスク姿の鳥山先生自身は、ベジータに対して「おまえなんて悟空にやられて死ぬはずだったのに生かしてやったんだぞ!」と語っています。

 どうやら予想外にベジータの人気が出てしまい、殺すに殺せなくなったらしく、代わりにやられ役として誕生したのがフリーザだったそうです。ちなみにベジータからこの事実をつきつけられた際の鳥山先生は、「…だってそんな変なヘアスタイルのヤツが人気になるって思わないじゃん」と本音をこぼしていました。