リメイクされるというデマが? 井上真央主演の実写シリーズ最終作『花より男子 ファイナル』ポスタービジュアル (C)TBS (C)神尾葉子/集英社

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高橋留美子先生「不仲説、ずっとありますよね(笑)」

 マンガの作者は、基本的にメディアに露出する機会が多くありません。そのためファンのあいだではウワサ話が広がりやすく、根も葉もないガセネタが真実のように語られてしまうこともありました。今回は、本人にはっきり否定された「デマ」の数々を振り返ってみましょう。

 代表的なものが、『うる星やつら』の作者である大御所漫画家・高橋留美子先生と、アニメ業界のレジェンド・押井守監督の不仲説です。1984年に押井監督が手掛けた映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を発端として、そのウワサが広まりました。

 同作はのちに『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』や、『イノセンス』を生み出す押井監督の出世作として知られており、その難解な作風の萌芽が見られます。「学園祭の前日」が幾度となく繰り返され、次第に日常が崩壊していくという『うる星やつら』らしからぬシリアスな内容でした。

 いわゆる「ループもの」の先駆け的な作品であり、押井監督による独自の世界観やストーリーの構成が高い評価を受けましたが、原作と比べると各キャラクターの言動や行動に不自然な点も目立っています。そのため高橋先生も、書籍『高橋留美子の優しい世界』のなかで「(『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は)押井さんの『うる星やつら』です」などとコメントしていました。

 そんな発言も相まって、両者の不仲が長年にわたってささやかれるようになりましたが、どうやら真相は異なるようです。実は「週刊少年サンデー」2020年44号に掲載されたインタビューで、高橋先生自ら不仲説に言及しており、「不仲説、ずっとありますよね(笑)否定してるんですけどねぇ」などと否定していました。

 また2022年5月には、高橋先生と縁のある漫画家・椎名高志先生が自身のX(旧Twitter)上にて、この件に関係すると思われるポストを投稿しています。そこで「(高橋先生は)『これは自分とはあまり関係無い、監督の作品ですね』とは言った」と前置きしつつ、「『でも面白い』とも言ってらして、別に怒ったりはしてないはずだと繰り返し述べておく」と証言していました。

 そのほか、実写化を巡るデマ話の被害に遭ったのが、名作少女マンガ『花より男子』です。国内では2005年と2007年にドラマ化され、翌2008年には続編として映画も制作されました。

 以降も韓国やタイなどで実写化されている同作ですが、実は2017年に広瀬すずさんを主演にしたリメイク版が制作されるという情報が一部メディアで報じられたのです。ファンからは賛否両論の声が巻き起こるなか、同年10月21日に原作者の神尾葉子先生が自身のX上で「花男ドラマのリメイク話とかないです。なぜこんな話になっているのか謎です…」と否定していました。



画像は『よつばと!』1巻(KADOKAWA)

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『よつばと!』がアニメ化しない本当の理由とは

 他方で「アニメ化」の話題に関してデマ騒動に巻き込まれたのが、「月刊コミック電撃大王」を代表する名作日常マンガ『よつばと!』です。『あずまんが大王』などで知られる漫画家・あずまきよひこ先生が2003年から連載している作品で、かねてより読者からはアニメ化を熱望する声があがっていました。

 しかし今のところ、同作のアニメ化は実現していません。これに関して一部では、「『あずまんが大王』をアニメ化した際にスタッフと原作者が揉めたから」という憶測が飛び交っていたのです。

 このウワサについて、あずま先生は2008年に自身の公式ブログ「あずまきよひこ.com」(現在は閉鎖済み)で、「えー。デマです」と一蹴しています。さらに当時のスタッフについても、「打ち上げでは最後まで一緒に呑んで『こんなに遅くまでいる原作者も珍しいですよ』って言われた」と良好な関係をアピールしていました。

 また『よつばと!』がアニメ化していない理由については「とても難しい」と言及しており、とくにキャラクターの「日常の演技描写」が困難らしく、同作の世界観を忠実に再現できないという判断なのだそうです。

 ほかにも2022年より続編が始まっている『金色のガッシュ!!』を巡っても、あらぬデマを流されていたことがありました。なんでも物語の最終章である「クリア・ノート編」を巡って、「本当はひとつ前の『ファウード編』で物語が完結する予定だった」などと「引き伸ばし説」がウワサされていたそうです。

 これに原作者の雷句誠先生は2019年1月4日、自身の公式ブログ「雷句誠の今日このごろ。」にて「なぜこんな噂が流れたのかは知りません」と否定しています。「クリア編」については「ファウード編が終わったら、あと1年で全てを描ききって(王様を決めて)終わりたい」と自ら編集部に打診していたそうで、「余分な話など一切ありませんし、すべてのエピソード、キャラを愛しています」と断言していました。

 デマやウワサ話が流出するのは今に始まったことではないものの、昨今はSNS文化が発達した影響も相まって、なぜ根拠のない話が出てくるのか真相が見えづらくなっているのが現状です。そんな時代を迎えているからこそ、改めて情報源の精査を心がける必要があるのかもしれません。