『Zガンダム』世代は見逃せないシルエット「HGUC 1/144 バイアラン・カスタム」(バンダイ)

【画像】個性派ぞろい! 無名のエース級パイロットの搭乗機体を見る(3枚)

名前も出ないエースパイロットたち

 アムロ、シャアなど、ガンダム作品のメイン級のパイロットの活躍シーンは何度見ても良いものですが、名前が無い、いわゆる“モブパイロット”の数少ない活躍シーンを見つけては心踊るファンも少なくないはず。有名なところでは『機動戦士ガンダムUC』で、強化人間のマリーダ・クルスが乗るニュータイプ専用機「クシャトリヤ」に挑んだ、スタークジェガンのパイロットなどが印象的です。

 そこで今回は視聴者目線で胸が熱くなった名も無き凄腕パイロットの活躍シーンを、ガンダムの映像化作品のなかからピックアップしてご紹介します。

ガンダムを一蹴した水陸両用MSのパイロット

 OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』のなかでは、陸戦型ガンダムのいる小隊を奇襲したジオンパイロットの腕が光るシーンがありました。

 エピソード9「最前線」でシロー・アマダ率いる08小隊は、ジオンの基地を捜索する作戦を敢行。カレン・ジョシュワが乗る陸戦型ガンダムは、静かな湖のほとりに降下します。

 そのとき、突如水中から飛び出して奇襲を仕掛けたのが、ファーストガンダムでもおなじみの水陸両用MSのアッガイ。このアッガイのパイロットは、クローによる初撃でカレンの陸戦型ガンダムの頭部を破壊。さらにカレン機が反射的に放ったビーム・ライフルに怯むことなく冷静に2撃目を加え、ガンダムに重大なダメージを与えます。

 奇襲が見事にハマったとはいえ、陸戦型ガンダムを鮮やかに叩きのめした技量はお見事。他の08小隊のメンバーの陽動と、エレドア・マシスのサポートを得たカレン機のビーム・ライフルを至近距離から食らってアッガイは撃破されてしまいますが、あの機体の操縦者はかなりの熟練パイロットだったのではないでしょうか。

赤いモビルスーツに乗った凄腕パイロット

 OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のエピソード2「茶色の瞳に映るもの」では、ジオンの新型MSを積み込んだ貨物船をコロニー内に入れる作戦が始動。その陽動役として出撃したのがゲルググJ(イェーガー)、リック・ドムII、ザクII改などで構成されたジオンの部隊でした。

 対する連邦は、宇宙戦仕様のジム・コマンドで迎撃しますが、ゲルググJが圧倒的な強さを見せつけます。自慢の高機動を活かし、巧みに遮蔽物を利用しながら次々とジム・コマンドを撃破。シャア専用を彷彿とさせる赤いカラーリングが施されたゲルググJは、まさに無双と呼べる活躍ぶりでした。もちろんゲルググJに乗っていたのはシャアではなく、名前も知らないモブパイロットです。

 他にも『機動戦士ガンダム0080』では、連邦の北極基地でシャトルを護衛したジム寒冷地仕様のパイロットの腕前も素晴らしかったです。ジオンの熟練パイロット、アンディ・ストロースが乗るハイゴッグにロケット弾を発射させる隙を与えなかった精密な射撃が印象的でした。

バナージ以上に目立った衝撃の無双シーン

 OVA『機動戦士ガンダムUC』のエピソード4では、ジオン残党軍が連邦のトリントン基地を襲撃。ジオン残党軍のMSによる陸・海・空からの攻撃により、連邦軍は一方的に蹂躙されることになります。

 その窮地に出撃してきたのがバイアラン・カスタム。同機はティターンズの試作MSバイアランをベースに、トリントン基地で改修された機体です。バイアラン・カスタムは凄まじい推力と機動性を見せ、ジオン残党の機体を圧倒していきます。

 相手が旧式の機体だったとはいえ、複数を同時に相手にしながらの無双劇。まるでメイン級のパイロットが操縦しているかのような圧巻の操縦技術に驚かされます。この場面においては、ユニコーンガンダムに乗るバナージ・リンクス以上に目立った活躍シーンと言えるでしょう。

 ちなみにOVA『機動戦士ガンダムUC』の劇中では、このバイアラン・カスタムのパイロットが誰なのか不明でしたが、後に刊行された外伝マンガ『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』(KADOKAWA)のなかで、整備兵のディエス・ロビンだったことが描かれています。

* * *

 主人公やそのライバルといった強くて当然な存在より、名前もない脇役ながら強さを見せるシーンは、胸熱なシチュエーションです。それに今回紹介した3シーンは、アッガイ、ゲルググJ、バイアラン・カスタムなど、それぞれ個性派な機体だった点も忘れられない理由かもしれません。ガンダム好きの皆さんの心に残る名も無きパイロットの活躍シーンといえば、どんな戦闘を思い出しますか。